要約
新型コロナウイルス感染症の企業の情報開示への影響
Q3-1. 企業の情報開示の変化
- 企業の情報開示が後退した(「大きく後退した」および「やや後退した」)との評価が4割近くあった一方で、「改善した」と評価する者も全体の1割強あった。
Q3-2、3-3. 情報開示が後退した点、改善した点
- 後退した点としては、「業績予想が公表されなかったこと」を挙げる者が最も多く、セルサイド、バイサイド共に8割以上であった。そのほかでは、「決算説明会が中止または簡略化されたこと」、「決算発表のタイミングが遅れたこと」、「業績予想は公表されたが、限定的な情報に止まったこと」が多かった。
- 一方、改善した点に関しては、『オンライン会議や電話会議で実施した説明会の模様や説明資料を、ウェブ上で公開する企業が増えた』、『地方企業など遠隔地にある会社のIR部門とのコミュニケーションが改善した』、『通常の開示内容に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響も盛り込まれた』等のコメントがあった。
Q4-1. 企業自身による業績予想の開示に対するアナリストの考え方
- 今回のような環境下であっても、企業は一定の前提条件を置いて業績予想を開示すべきである。ただし、状況の変化による前提条件や業績予想の修正は当然であり、当初予想の数値と乖離が生じたとしても、前提条件のズレや予想公表後の不規則事象に即した合理的な説明があれば、数値が違ったことのみを問題視しない」との回答が最も多く、セルサイド、バイサイド共に6割を超えた。他方、「今回のような環境下においては、企業が業績予想を開示できなくともやむを得ない」との回答が2割強となり、次に多かった。
- 「その他」を選択した者においても、『業績予想である必要はないが、何らかのシナリオ分析や参考となる数値が知りたい』等のコメントがあった。
Q4-2、4-3. 業績予想の開示に対するアナリストの期待
- 期待するが93%で、セルサイド、バイサイド共に9割を超えた。
- 期待する開示内容としては、「業績予想の前提条件について十分な説明を行った上で、一つ(レンジも含む)の業績予想(数値)を開示」とする者が8割強となり、最も多かった。
Q5-1、5-2. 感染症に関するリスク情報の開示に対するアナリストの期待
- 期待するが92%で、バイサイドのほぼ全員(99%)が期待するとした。
- 期待する開示内容としては、「事業環境の変化を踏まえた経営方針・経営戦略」とする者が最も多く、特にバイサイドの期待が高かった(セルサイド73%、バイサイド83%)。
主なフリーコメント
「新型コロナウイルス感染症の企業の情報開示への影響」に対する主な意見を掲載。