第2 個人会員へのメッセージ(5)

5.未公開の重要な情報を発行会社から入手した場合の対応について

(1) 近年、企業における IR 活動が積極的に行われるようになったことに伴い、 証券アナリストが経営者をはじめとする企業幹部とコミュニケーションを持つ機会が増大している。これは歓迎すべき進展であるが、同時に証券アナリストが未公開の重要な情報に接する可能性も増している。未公開の重要な情報を知らされた場合、会員は、職業行為基準 7.(1)および(2)により、これを証券分析業務に利用することも他の者に伝達することも禁止されている。これにより、当該証券アナリストは非常に難しい立場に置かれることになる。実際上、その発行会社に関するレポートは書くことが困難になるのみならず、証券取引法に規定するインサイダー取引規制との関係でもリスクを負うことになる。したがって、このような場合には発行会社が当該情報をできるだけ早く公表することが望ましい。また、投資家の利益という観点からもその方が望ましいと言えよう。

(2) そこで、当協会としては、未公開の重要な情報に関する職業行為基準の現行の規定に加え、次の規定を置くことが適当と考えている。
「会員は、証券の発行者に係る未公開の重要な情報を発行者から直接入手した場合において、その発行者が当該情報を公表することが適当と判断されるときは、発行者に対しその公表を働きかけるよう努めるものとする。」

ここで、「発行者から直接入手した場合」としたのは、二次以降の情報受領者については、実際上発行者への働きかけが困難であると思われるからである。また、「当該情報を公表することが適当と判断されるとき」としたのは、職業行為基準上の重要な情報の概念が証券取引法第 166 条2項に規定する重要事実より広いものとなっており、重要な情報に該当しても公表することが困難なものがありうることを考慮したものである。

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