2025年11月号(第63巻第11号)
特集 : 社会科学としての個人の資産運用
資産運用は合理性だけじゃない。社会科学で読み解く “人” の投資行動
従来、個人の資産運用の問題は、古典的な経済学を使って、リスク・リターン最適化などの合理的な方法を追及することが中心だった。一方、新しい行動ファイナンスの理論や、大量の個人データを基にした議論では、個人の属性の違いや行動バイアスの関係を明らかにすることに焦点が移ってきている。この現代的な議論では、個人の資産運用は、経済学、心理学、教育や政策の在り方など広い範囲の知見が必要な「社会科学」となっているといえる。本特集の4本の論文を見ても、人口動態、認知と加齢、性格特性、投資家の不安など多くの個人ファクターが投資行動に影響していることが示されている。行動ファイナンスとデータサイエンスの応用/統合は、個人資産運用の研究と諸問題の解決に不可欠になっている。
本特集を企画した 大庭 昭彦 氏 (野村證券金融工学研究センター エグゼクティブマネージャー)
解題
(293KB) 
					大庭 昭彦・・・3
※本特集に関連する過去の特集・特集論文としては下記があります
					2025年6月号特集「個人金融投資―貯蓄から投資へ×新NISA―」
					2024年10月号特集「金融リテラシーと金融行動」
					2024年1月号特集「年金制度の変容と資産運用」
					2022年8月号特集「実験行動ファイナンス」
					2021年7月号特集「人生100年時代の個人金融資産」
					2020年1月号特集「個人投資家の資産形成行動とその背景」
					2025年9月号展望「デキュミュレーションと投資の考え方」
					2022年7月号展望「投資教育と投資推進に関する研究の新展開」
					2017年12月号「行動ファイナンスと金融リテラシー」
					2017年6月号特集「個人とリスク資産投資の今」
				
論文
- ライフサイクルを通じた貯蓄と資産形成の理論と現実
(432KB)
祝迫 得夫・・・7 - 長寿社会における望ましい資産管理・運用支援政策
―加齢に伴う資産管理・運用能力の変化の視点から―
(516KB)
駒村 康平・・・17 - 個人の性格と投資に対する態度について
(365KB)
山根 承子・・・32 - 投資者の「不安感」に関する実証的分析
―投資者意識調査からの検証―
(464KB)
青山 直子・・・41 
第40回日本証券アナリスト大会
≪開会の辞≫
(237KB)
					鳥海 智絵・・・54
≪受賞者・受賞企業の紹介≫証券アナリストジャーナル賞
(416KB)
					加藤 康之・・・57
≪受賞者・受賞企業の紹介≫ディスクロージャー優良企業
(314KB)
					許斐 潤・・・60
展望
分散型取引所(DEX)における価格形成に関するサーベイ
(276KB)
				  西出 勝正・・・62
視点
地方銀行の課題と取組みの現状について
(294KB)
						川上 尚貴・・・83
特別掲載
第16回SAAJ国際セミナー パネルディスカッション
				超高齢社会と資産運用業の新たな貢献
				―資産寿命の延伸戦略:デキュムレーションを考える―
(430KB)
			北川 尚子/小松原 宰明/後藤 順一郎/野尻 哲史 ・・・88
査読付き論文
ESG時代における企業D&Iコミュニケーション
				―統合報告書の視覚的表現と人的資本管理評価―
(419KB)
			崎濱 栄治 ・・・102
査読付き研究ノート
本邦機関投資家によるESGエンゲージメントの効果測定について
(396KB)
			竹田 健人/関 俊哉 ・・・115
証券アナリスト読書室
神津多可思著
					『「経済大国」から降りる―ダイナミズムを取り戻すマクロ安定化政策―』
					沼波 正・・・129
森川正之著
					『不確実性と日本経済─計測・影響・対応─』
					加藤 康之・・・131
大熊将八著
					『アクティビストと企業支配権市場―日本企業に変革と再編を迫るマーケットの猛威―』
					光定 洋介・・・133
