プライベートバンカーって、何でしょう?
起源は十字軍遠征の時代
その起源は十字軍遠征の頃とも言われています。地続きで国境を接するヨーロッパの国々では、いつ敵国が攻めてきて財産を没収されるかわからない、また自国の貨幣価値が暴落するかもしれないといった状況の中で、無限責任で一家の財産の保全を図ってくれる「プライベートバンキング」という仕組みが生まれたと言われています。
あるいは国境をまたいで傭兵として得た報奨金を、保全しておきたいというニーズから生まれたとも言われています。
スイスで成長 プライベートバンキング
保全を希望する財産はスイスに集まりました。なぜなら、スイスは永世中立国であり、インフレや通貨価値が安定しているので、財産の保全にはぴったりだったわけです。
また、守秘義務が厳格で、秘密を知られたくない富裕層の多くの資金もスイスに集まって行きました。
金融のエキスパート、プライベートバンカー
当初は財産の保全が目的だったプライベートバンキングも、様々な顧客のニーズに応えるようになっていきました。例えば、資産の保全よりも増やすことを希望して、様々な商品に投資したいというニーズや、家族の事業のサポート、家族の教育や留学の相談など。
こうして、"金融のエキスパート"的な存在として富裕層の様々なニーズに対応する、「プライベートバンカー」というプロフェッショナルたちが活躍するようになったのです。
なぜ日本でプライベートバンカーが必要?
「プライベートバンカーは、一部のお金持ち相手にサービスをする人」であるとするならば、日本ではそれほど必要がないようにも思えせんか?
しかし、日本にはプライベートバンカーの育成が急務だとする、これだけの理由があります。
お金持ちに厳しい日本の税制
世界にはタックスヘイブンと呼ばれる低い税率の国々があるのはもちろんのこと、アジアにおいても、相続税が課せられる国は、日本、韓国、台湾の3カ国しかありません。その中でも日本が最も高率です。3代相続したら資産が無くなるという例えもあります。適切な相続対策のアドバイスができるプライベートバンカーの存在は欠かせません。
相続対策は一般的な課題に
税制改正により、2015年からは相続税が課せられる対象が拡がります。首都圏では4割の人が、相続税の申告対象になると言われています。
もはや、相続対策は一部のお金持ちだけの問題ではなくなりつつあります。
後継者不足に悩む中小企業
わが国の経済発展を支えてきた中小企業は、経営者の多くが高齢化し、世代交代の時期を迎えています。しかし、全体の2/3には、事業を継いでくれる後継者がいないとも言われている状況です。第三者が引き継ぐケースの方が多い昨今、税金対策だけに止まらず、事業そのものについて、また自社株を現金化した後の資産の管理運用も含めた、専門的なアドバイスができるプライベートバンカーの存在が、以前にも増して求められています。
業際規制の厳しい日本でこそ求められるプライベートバンカー
業際規制の下、金融機関自身も自社で扱える商品に制限があるので、自社商品以外に関するアドバイスはおのずと限られます。
しかし、顧客が望んでいるのは業界横断的なアドバイスです。
顧客の立場にたった広い視野での、専門的なアドバイスが求められています。
金融機関の新たな収益機会
金融機関としても、プライベートバンカーの専門的なアドバイスにより、従来の取り扱い商品に止まらない新たな収益機会を得られるチャンスに期待して、プライベートバンキングビジネスに力を入れ始めています。