第3 法人会員への要望

  1. 証券アナリストが客観的かつ公正な証券分析業務を行っていくためには、個人会員自身が職業行為基準を理解し、実践していくことがまず必要であるが、会員の所属する会社その他の法人において、そのための環境の整備が行われることが是非必要である。現行職業行為基準総則 2.(5)は、法人会員等が本基準を尊重し、構成員である会員が職業行為基準などに違反することのないよう必要な指導を行うよう求めているが、当協会としては、本総則を一部改正し、法人会員等は、現行職業行為基準による指導に加え、個人会員による証券分析業務の独立性および客観性が確保されるよう努めなければならないとの趣旨を規定することが適当と考えている。
  2. このたび、日本証券業協会が、アナリスト・レポートに係る社内審査、情報の管理、証券アナリストの独立性の確保および証券アナリスト等の証券取引等に関し、証券会社の遵守すべき事項を理事会決議として採択されたことは、 当協会として高く評価するものである。法人会員をはじめ当協会の個人会員を構成員として有する各社がこの理事会決議にのっとり体制の整備を進められることを強く期待したい。
  3. とりわけ、投資銀行部門等社内の他の部門との関係や発行会社との関係で、証券アナリストが独立性、客観性を維持して業務を行っていくためには、経営トップをはじめとする管理者の理解と支援が不可欠である。また、証券アナリストの評価や報酬の体系によってリサーチの客観性・公正性および独立性が影響を受けないように配慮されることを望みたい。そのような観点からは、調査部門の証券アナリストの報酬が他部門の具体的取引からの収入に直接にリンクするような方式は望ましくないと考えられる。
    また、各種のアナリスト・ランキングが証券アナリストに対する機関投資家の評価を示すものとして、証券アナリスト評価の要素として考慮される場合にも、これを過度に重視することは避けることが望まれる。証券アナリストの評価は、投資推奨の実績、アナリスト・レポートの質を含むできるだけ幅広い観点から行われることが望ましいと考える。
  4. 証券アナリストが投資社会において重要な役割を果たすようになったことは、歓迎すべきことである。ただ、役割が重要性を増したことにより、証券アナリストが日々の業務に過度に多忙となり、アウトプットばかりを追い、インプットの時間がないというようなことのないように望みたい。経済のグローバル化や会計基準、法制度の変更などにより投資環境は年々複雑化しており、また証券分析業務の技法も高度化しつつある。証券アナリストが投資の専門家としての存在理由を主張するためには、変化する状況を的確にフォローすることが不可欠である。当協会も会員の継続教育にこれまで以上に力を入れていく方針であるが、所属会社等においても証券アナリストの能力の維持、向上に十分な配慮をお願いしたい。

本ペーパーで言及している日本証券業協会理事会決議「アナリスト・レポートの取扱い等について」は、同協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則」に改正されています。また、言及している条文の内容や項目が、改正等により変更になっていることもあります。留意してください。

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