合格者の声

谷川 敬祐 さん

三井物産株式会社
財務部資本市場・M&A支援室(合格時)

CMA®資格取得を目指した動機は何ですか

総合商社が従来の貿易等の物流ビジネスから事業投資へ軸足を移す中、特に定量分析をする際に、財務・経理分野の知見が不可欠となりました。財務部に異動前は営業部に所属しており、簿記3級程度の基礎知識で凌いでいましたが、求められる関連知識の広範化・深化がより顕著になりました。投資案件でのデューディリジェンス等では専門家のアドバイスを正しく理解するには依頼側にも一定レベルの知見がないと非効率的であると実感。そのような中、社内研修で推奨されていたCMAを知り強く興味を惹かれ、挑戦してみたいと思い受講を決意しました。

資格取得のための準備について

  1. (1) いつ・どのくらい勉強されましたか

    第1次レベル・第2次レベルの受講時は営業部所属であり、自身が金融の門外漢であるという認識の下、第1次レベルで300時間、第2次レベルで400時間は確保しました。勉強時間の創出で気を付けた点は、①心身がリフレッシュされている朝時間の活用、②マインドセットとして「多忙を言い訳にしないこと」の2点です。特に②に関しては、ジム通いや減量と同じで「言い訳をする=やらない」に直結し、これを意識的に禁じることで退路を断ち、なんとか勉強時間を確保し継続することができました。

  2. (2) どのように勉強されましたか、お勧めの勉強法などを教えてください

    第1次レベル・第2次レベルともに、過去問に勝る良問はないと考え、過去問を完全に理解し解けるようになることをゴールとして常に意識して勉強しました。第1次レベルは繰り返し同じ問題を反復することで、知識の定着・計算力の向上に繋がりました。不明点は協会テキストや市販テキストに何度も立ち戻ることで、最初は浅かった理解が2次曲線的に深まる実感がありました。意識したのは反復回数で、やはり2~3回では理解深度は十分とは言えず、4~5回目でも60%の理解程度、6~7回目で初めて90%を超えた理解に到達することができました。当初は6~7回も反復すると飽きるのではないかとの懸念もありましたが、協会テキストは奥が深く、繰り返すほどに関連知識と有機的に繋がり、新しい発見の連続で新鮮でした。また、第2次レベル試験は問題自体がケーススタディそのものであり、実務で活用する際の実践例として非常に参考になり、難度は高いですが解いていてワクワク感のある良問揃いでした。

合格の秘訣は何ですか

自身が金融の門外漢であることを自覚し、上記の通り愚直に繰り返したことに尽きます。テクニカルな面では以下の2点です。1点目は、苦手科目を作らず、バランスを意識して勉強したことです。特に、実務経験のない証券分析は当初大変難しく感じ、他の科目でカバーしたくなる衝動に駆られるも、やはり証券アナリストを目指すからには、その最重要科目である証券分析を主戦場として勝負しようと決め、時間配分も含め重点的に勉強しました。結果として、各科目間のバランスが取れたのではないかと考えています。2点目は、第1次レベル試験の段階から得意科目を作ったことです。財務分析・企業分析と出題範囲の重複部分が多い「ビジネス会計検定」(大阪商工会議所主催)を活用することで、本試験の前に一定水準の実力を付けることができました。その結果、直前期に他科目に集中することができ、また本試験でも精神的にゆとりを持って対応でき、有意義でした。

準備を通じて得たこと(資格取得の意義など)

具体的には以下の3点です。

  1. (1) 財務諸表に対する親近感の醸成

    「財務諸表が読める」ことを謳った書籍は少なくありませんが、本当に読み解けているのかを客観視することは困難です。一方で、無手勝流でも読めるのかもしれませんが、まずは財務分析上の定石を押さえていたほうが習得進度の観点から効率的と考えました。具体的には、財務三表の個々の重要論点を理解することで、点や線が面になります。それを踏まえ、三表間の繋がりを把握することで面が立体構造になり、更に時系列分析を加えることで、その立体が動き出す。私の中では財務三表は3D動画として把握しています。

  2. (2) 統計学的思考様式の獲得

    また財務諸表と同じく、ビッグデータ時代を背景とした「統計学のビジネス活用」を謳った書籍も流行りとなっていますが、実際に実務現場でどう使うのかは感覚的に分かり辛いものです。証券分析を学んだ最大の効果は、膨大なデータと接したときに、どうトレンドを見抜き(重回帰分析等)、それを統計学的に信頼できるかどうかを検証(t検定等)できる思考様式を養えたことです。

  3. (3) 経済学の実践応用

    経済学部卒であり多少は経済学の素養はありましたが、アナリスト試験で求められる経済学はアカデミックというよりは、グローバル化してボーダーレスとなった世界経済をどう読み解くのか、各国の政策とマクロ指標との繋がりをどんな文脈で理解すべきか等、非常に実践的な内容で、経済学という学問をもう一度見直す最良の機会となりました。また、現代ファイナンスはミクロ経済の発展形であるという事実には目からうろこが落ちる感覚がありました。

受講中の方へのメッセージ

世の中に経理系の資格試験は数多くありますが、財務系の資格は経理系と比して僅少です。その中で、証券アナリストは財務系と経理系を同時に学ぶことができ、かつその両分野の有機的な繋がりを理解し、極めて実践に近い形で習得できる稀有な資格試験と認識しています。第1次レベル試験では数多くの計算問題を通じて基礎知識を体感的に習得でき、それを踏まえ第2次レベル試験では実践での試行力・応用力を涵養できる、大変よく練られた精緻なカリキュラムになっており、本受講の意義は高いと考えます。まずは合格を目指すことは大事ですが、それ以上に本講座を主体的に積極活用し、自身の中に実務に耐えうる「アナリスト的な視座・考え方の枠組み」を構築することに意義があるのではないかと考えます。具体的には、数字や指標をみたときに、グローバルマーケットの中でどんな意味を持つのか、どんな収益構造・ビジネスモデルになっているのか、ベンチマークと比較して何が言えるのか、その数値は統計的に有意といえるのか、という様々な視点で複眼的に捉えることができるようになることだと考えます。

今後の抱負について

証券アナリスト合格というのは大変光栄なことですが、深淵なる金融の世界の入口に漸く立つことができたという一通過点と理解しています。この第1次レベル・第2次レベルの通信教育・試験を通じて学んだことを血肉化し、実務の現場で使いこなせる武器へと昇華すべく、これからは積極的かつ主体的に知識を活用・還元していきたいと思います。

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