2021年3月号(第59巻第3号)
特集 : バリュー投資再考
バリュー投資は本当に終わったのか!? 今こそ、その真価を真剣討論!!
バリュー投資はかつて株式運用のスターだった。バフェットほどの銘柄選択眼がなくても、低PBRのバリュー株に投資さえしておけば、高いパフォーマンスを上げることができた良い時代があった。スマートベータでもやはりバリュー投資型が牽引してきた。それが、リーマンショックの頃を境に状況が一変した。今やグロース投資やクオリティ投資にそのスターの座を明け渡してしまい、バリュー投資はお荷物扱いされるようになってしまった。そして、IT・ネット関連業界優位のコロナショックはバリュー投資に決定的な一撃を与えたように思える。
「バリュー投資は終わった。当面戻らないだろう」という論調も最近少なからず見かけるようになっている。しかし、歴史を振り返れば、「終わった」と言われたときこそが最大の投資機会であったことが多い。バリュー投資の時代は再来するのだろうか。しかし、それは新しい概念のバリュー投資であるかもしれない。アフターコロナを見据えて、今、バリュー投資について再考するには最適なタイミングであろう。今月の特集が以上のような議論を含めバリュー投資の不調に関する多くの疑問に解答を与え、今後の投資戦略に資することを期待したい。
加藤 康之 氏(お金のデザイン研究所 所長 東京都立大学 特任教授 京都大学 客員教授)
解題(243KB)
加藤 康之・・・2
論文
- グローバル株式市場におけるバリューファクターパフォーマンスの比較(188KB)
田村浩道/Alex Chen・・・6 - バリュー投資の再考―完全予見による評価―(186KB)
工藤秀明/片山大輔/高柳健太郎・・・17 - アルファかベータか―機械学習アプローチによるバリュー効果の解明―(158KB)
内藤 誠/内山朋規/清水康弘/西内 翔・・・29 - バリューファクターとの正しい向き合い方(149KB)
Rob Arnott/Campbell Harvey/Vitali Kalesnik/Juhani Linnainmaa(著)
田村徳崇/安藤航平(訳)・・・41
展望
リース会計基準の改訂動向(131KB)
小宮山 賢・・・51
経済・産業・実務シリーズ
資産運用者のフィデューシャリー・デューティー
―米国資産運用業における利益相反に係る史的考察―(182KB)
友松 義信・・・57
視点
ゼロ金利の裏側で起きていること(174KB)
渡辺 努・・・70
証券アナリスト読書室
高安美佐子/和泉潔/山田健太/水田孝信著
「マルチエージェントによる金融市場のシミュレーション」
岡田 克彦・・・75
石田潤一郎/玉田康成著
「情報とインセンティブの経済学」
坂巻 敏史・・・77
谷本寛治著
「企業と社会─サステナビリティ時代の経営学─」
北川 哲雄・・・79