2026年9月号(第64巻第9号)
特集 : 経済価値ベースのソルベンシー規制の導入の影響
保険業界の新たな健全性規制
2026年3月に経済価値ベースのソルベンシー規制(ESR)が適用開始された。2000年前後の中堅・中小生保の連続破綻を未然に防げなかったことへの反省を踏まえ、旧規制を見直し、約20年にわたる議論を経て導入された。
保険事業はヘッジ不能なリスクから契約者を守る事業である。契約者に長期の保障を提供するために、保険会社は安定的かつ持続的に収益を獲得し、その蓄積によって将来のリスクにも備える必要がある。こうしたリターン・リスク・資本の好循環をどれだけ実現しているのか、外部ステークホルダーも把握できるよう、健全性に関する適切な指標の整備と適切な情報公開を目的として、新規制は設計されている。
しかし、生保会社の健全性に関して、これまでも誤解を招くような報道が見受けられた。識者は、今後も誤解が生まれることを懸念している。本特集が新規制に関する読者の理解の一助となれば幸いである。
大野 早苗 氏(武蔵大学 経済学部 教授)
解題
(295KB)
大野 早苗・・・2
※本特集に関連する過去の特集としては下記があります。
2026年5月号特集「2023年の銀行を巡る混乱と将来の金融危機への備え」
2026年1月号展望「ノンバンク金融仲介(NBFI)における金融安定リスク」
2018年5月号展望「金融機関のリスク管理と資産運用ビジネス」
2016年2月号特集「金融規制改革と市場」
論文
- 経済価値ベースのソルベンシー規制─概要と課題─
(407KB)
植村 信保・・・6 - 経済価値ベース指標を活用したERMの高度化
(365KB)
森本 祐司・・・15 - 新規制下のERM経営─資産運用のリスクテイクとその管理─
(478KB)
砂本 直樹・・・24 - IAIG向けの規制が日本の生命保険会社に与える影響
(399KB)
増井 正幸・・・39
展望
情報技術の利活用と課題
―生成AI、Fintech、AIガバナンスおよび関連トピック―
(393KB)
高橋 大志・・・51
金融市場の行動経済学シリーズ[第3回]
株式市場における群集行動
―銘柄間相関グラフの「枝密度」による計測―
(409KB)
岡田 克彦・・・60
視点
コーポレートガバナンス改革―実践の現場にて―
(295KB)
白川 俊介・・・71
査読付き研究ノート
時価総額加重型インデックスファンドのリバランシングコスト
(350KB)
野原 崇史/薄井 彰・・・75
企業価値創出のためのオフバランス無形資産ガバナンス
―企業間異質性の影響に着目した分析―
(465KB)
井出 真吾/小松原 宰明/竹原 均・・・87
特別掲載
グローバルREIT市場の発展経緯とスチュワードシップへの取り組み
(405KB)
野中 敬祐・・・100
アジア・サステナビリティ・シンポジウム 基調講演2
日本におけるサステナビリティ開示の進展とアジアへの示唆
―人的資本開示の未来を見据えて―
(843KB)
井上 俊剛・・・110
証券アナリスト読書室
石川博行著
『配当シグナリング』
髙須 悠介・・・120
加藤政仁著
『証券アナリストの市場機能―株価形成と企業ガバナンスへの影響―』
北川 哲雄・・・122
竹村彰通監修 今井貴史/松原悠/市川治編著
『生成AIを活用したデータサイエンス入門―実例で学ぶ教科書―』
田村 浩道・・・124
