2023年6月号(第61巻第6号)
特集 : 「円相場と日本経済」
為替変動が日本経済に与える影響はどう変化するか
昨年、一昨年は欧米諸国の金利上昇による内外金利差拡大で円安が進行し、円相場は一時的に1ドル150円ラインを突破した。2023年は金利上昇予想の後退により円高方向に修正されているが、植田日銀総裁は超金融緩和の続行を表明しており、中期的にはさらなる円安も否定はできない。 今後の円相場も気になるところだが、本特集では為替変動の経済効果について着目したい。幾多の円高局面を経て生産拠点の海外移転が進んだ結果、為替変動が企業価値に及ぼす影響はどのように変化したのだろうか。また、資産運用の世界でもグローバル化は進展しているが、為替変動の日本全体への影響はどの程度の規模になったのだろうか。持続的な経常黒字などを根拠として円は安全通貨とみなされてきたが、経済構造の変化や債務の持続可能性などを背景に円に対する見方がどのように変化し得るのかを考察したい。
大野 早苗 氏(武蔵大学 経済学部 教授)が語る
解題(304KB)
大野 早苗 ・・・2
論文
- 円相場と経済の構造変化
(386KB)
小川 英治・・・6 - 日本企業の為替エクスポージャー
―国際生産ネットワーク下での為替変動への耐性―(382KB)
佐藤 清隆・・・19 - 円の為替変動と日本の国際投資ポジション
(393KB)
伊藤 宏之・・・29 - 円相場と投資家行動
―不確実性、資源高、政府債務拡大と株価との関係―(460KB)
増島 雄樹CMA・・・42
展望
日本銀行の「失われた10年」
―忘れ去られた説明責任と失墜した信頼-(328KB)
沼波 正・・・54
経済・産業・実務シリーズ
世界経済の展望(370KB)
廣島 鉄也・・・61
視点
déjà vuあるいは危機の構図(289KB)
福田 一雄・・・69
証券アナリスト読書室
宮川壽夫著
「新解釈 コーポレートファイナンス理論
―「企業価値を拡大すべき」って本当ですか?―」
鈴木 一功・・・73
加藤晃/野村資本市場研究所サステナブルファイナンス3.0研究会編著
「新キャピタリズム時代の企業と金融資本市場『変革』
―「サステナビリティ」と「インパクト」への途―
松田 千恵子・・・75
野田健太郎/熊田順一編著
「観光産業のグレート・リセット―成長をどうデザインするか―
菅原 周一・・・77