2023年4月号(第61巻第4号)
特集 : 日本の公的マネー
公的マネーが株式市場で果たす役割と、その影響や功罪は
日本の株式市場において、政府もしくは政府に準じる主体が運営する資金である「公的マネー」が大きな役割を果たすようになっている。本特集では、主たる四つの公的マネー(日銀によるETF保有、GPIFの株式投資、大学10兆円ファンド、官民ファンド)についてその市場への影響と功罪を概観するとともに、日銀保有ETFについては新ファンドによるETF買取を用いた「出口問題」への対応の提案を、大学ファンドについては財政融資資金に原資を頼る仕組みと損失が累積した場合の対処への制度設計に関する懸念点の指摘を、そして官民ファンドについては過剰な競合による赤字体質や不適切なKPIによる脆弱なガバナンスという問題の解決に向けた統廃合と経営の民間への移譲に関する議論を行う。
大橋 和彦氏 (一橋大学経営管理研究科 教授/東京工業大学エネルギー・情報卓越教育院 教授)
解題(287KB)
大橋 和彦・・・2
論文
- 株式取得に関連する日本の公的マネーの分析
―その株式取得の歴史・現状ならびにその功罪について―(178KB)
光定 洋介・・・6 - 動き出した大学ファンドへの期待と懸念
(170KB)
原田 喜美枝・・・18 - 日銀ETFを活用した資産運用立国への道
―異次元金融緩和の遺産を国民益の長期的な拡大に―(175KB)
井出 真吾・・・27 - 官民ファンドの再構築―政府の失敗を是正するために―
(173KB)
田中 秀明・・・35
展望
芸術文化の支援と資金獲得(142KB)
河田 剛・・・47
経済・産業・実務シリーズ
ESG経営を目指すBコープの社会的意義と動向(187KB)
鈴木 勘一郎・・・54
視点
日本の資産運用会社の高度化―成長へのナローパス―(223KB)
菅野 暁・・・64
証券アナリスト読書室
辻廣雅文著
「金融危機と倒産法制」
小立 敬・・・68
河野龍太郎著
「成長の臨界―「飽和資本主義」はどこへ向かうのか―」
沼波 正・・・70
ロン・アドナー著 中川功一監訳 蓑輪美帆訳
「エコシステム・ディスラプション─業界なき時代の競争戦略─」
加藤 康之・・・72