図書紹介

株式投資 第4版
-長期投資で成功するための完全ガイド-

ジェレミー・シーゲル著 
林康史・藤野隆太監訳、石川由美子・鍋井里依・宮川修子訳
(日経BP)

 本書は、原著第4版が2008年に出版され、日本語訳も2023年に14版を重ねる株式長期投資に関するバイブルの1つである。最大の特徴は、過去200年以上にわたり主要な金融資産の利回りを記録し、分析研究した結果、あらゆる金融資産の中で株式の利回りが最も高く、インフレを考慮した場合には債券の利回りよりもはるかに確実で予想しやすいことを明らかにしたことである。

 このほかにも、興味深い主張が数多くなされており、いくつかを紹介すると、
・成長は高い利回りを意味するものではないこと、つまり長期では割安株の利回りが成長株を上回る。
・長期投資を成功させるためには株価指数に連動する資産をポートフォリオの中心にするべきだが、S&P500指数のように人気が高くなり過ぎた株価指数は、指数構成銘柄にプレミアムが付くため株価が高くなり、結果として投資利回りを低くすることがある。
・米国、欧州、日本などでは間もなく高齢化危機が高まることから、アジアをはじめ新興国経済の役割が増大する。このため、各国の利回りの短期的相が高まっているにもかかわらず、グローバルな国際分散投資が必要である。
・一般投資家は、かつては移り気で相場が下がり始めるとすぐに株を手放すと考えられていたが、2000年のハイテク銘柄暴落、2001年9月11日の同時多テロでも株式を保有し続けたことから、株式の長期保有の有効性に対する認識が高まっている。

 昨今の株式相場の乱高下は、ニュースに過剰反応する機関投資家のプログラミング売買によるとも言われている。わが国では新NISAにより非課税の投資枠が拡大されたことを背景に、個人投資家の参入が増えている。本書は、株式相場の日々の動きに一喜一憂せずに腰を据えた長期投資を行う意義改めて教えてくれる。

 著者のジェレミー・シーゲルは、ペンシルバニア大学大学院(ウォートン・スクール)教授(金融論)。監訳者の林康史は立正大学経済学部教授、野隆太はフーリハン・ロッキー株式会社マネジング・ディレクター。

 

目次

序 章 本書の目的・方法と構成
第1部 株式投資の歴史的評価
 第1章 1802年以降の株式・債券の投資利回り
 第2章 リスク、リターン、資産配分
 第3章 株価指数
 第4章 S&P500指数
 第5章 株式と債券の利回りに与える税金の影響
 第6章 株式投資の見通し
第2部 価値、スタイル、グローバル市場
 第7章 株式-市場価値の源泉と基準-
 第8章 経済成長の影響と高齢化
 第9章 市場に勝つ
 第10章 国際投資と中国やインドをはじめとする新興国の台頭
第3部 経済環境は株価にどのような影響を与えるのか
 第11章 金、金融政策、インフレ
 第12章 株式と景気循環
 第13章 世界的な事件が金融市場に影響を与えるとき
 第14章 株式、債券と経済指標 
第4部 短期的な株価の変動
 第15章 上場投資信託、株価指数先物、オプションの興隆
 第16章 市場のボラティリティ
 第17章 テクニカル分析とトレンド投資
 第18章 季節のアノマリー
 第19章 行動ファイナンスと投資の心理学
第5部 株式で富を築く
 第20章 ファンドのパフォーマンス、インデックス投資、市場に打ち勝つこと
 第21章 長期投資のためのポートフォリオ構築 

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