これまでの事業承継の常識は通用しない!?
金融アドバイザーが知らないとマズい新制度とは

これまでの事業承継の常識は通用しない!?金融アドバイザーが知らないとマズい新制度とはこれまでの事業承継の常識は通用しない!?金融アドバイザーが知らないとマズい新制度とは

多くの金融アドバイザーにとって、最も営業対象先としたいのが中小企業のオーナー社長だろう。オーナー社長は個人の資産管理のみならず、所有している法人のニーズが多様化しており、金融アドバイザーとしては提案できる商品の幅が広い。

なかでも事業承継は最も関心が高い分野のひとつだ。金融アドバイザー側も高度なスキルとノウハウが必要とされる。そのようななか、これまでの事業承継の常識がひっくり返る新制度が平成30年度税制改正で誕生したことを知っているだろうか。

新事業承継税制は非常に複雑な制度で、活用には様々なハードルがあり、詳細まで全て理解するのは難しい。しかし顧客に説明しないという選択肢はありえないだろう。まずはポイントを押さえて、概要を掴むことが重要だ。

事業承継税制の特例措置とは

事業承継税制自体は以前より存在していて、後継者が認定を受けている非上場会社の株式を相続(もしくは贈与)した場合、その株式に係る相続税(贈与税)の納税額の一部を猶予し、一定の要件を満たすと、先代の死亡等によりその納税額の一部が免除される制度だ。

贈与だと100%、相続でも80%が納税猶予されたが適用ハードルが高く、これまでなかなか浸透してこなかった。しかし少子高齢化が進む日本において、中小企業の円滑な事業承継は喫緊の課題だ。そこで平成30年度税制改正では、この事業承継税制について、これまでの措置(一般措置)に加えて、特例措置が新設された。主な変更を確認してみよう。

主な変更点(1)適用要件2つを大幅に緩和

改正によって適用要件が大幅に緩和された。緩和内容は大きく「納税猶予の対象が全株式になること」と「最大3名の後継者への承継が可能になること」の2点ある。

今まで納税猶予の適用対象となる株数は「総株式数の最大3分の2まで」であった。相続税の猶予割合は80%なので、相続で受け継いだ際の猶予割合は2/3×80%=約53%に限られていた。特例措置では「対象株数が全株式」かつ「納税猶予割合は贈与・相続に関わらず100%」に変更されたので、贈与税や相続税の支払いなしで事業承継が可能になる。

また先代経営者だけではなく、その配偶者や兄弟姉妹に自社株が分散しているケースも多い。改正前は1人しか後継者になれなかったが、改正後は最大3名が後継者になれるので、適用できる可能性が広がった。これら2つの適用要件の緩和は最も大きな変化と言えるだろう。

主な変更点(2)適用後の縛り2つを大幅に緩和

適用後の縛りに関しても大幅に緩和された。今までは適用後、納税が免除(減免)されるのは納税猶予期間中に事実上倒産したケースに限られていたが、改正後は業績悪化により、株式を譲渡したり解散したりする際は時価で計算し直すことができる。

また、改正前は5年間で平均8割の雇用維持が条件だったが、改正後は、経営悪化が理由の場合は8割維持ができなくてもやむなしと弾力化された。これら2つの緩和によって、後継者は将来の不安が軽減され、より積極的に事業承継を受けることができるようになるだろう。

主な変更点(3)厳しくなった部分もあり

オーナー社長にとって活用しやすく改正された事業承継税制だが、厳しくなった部分もある。例えば「事前の計画策定」について一般措置は提出不要だったが、特例措置は5年以内の特例承継計画の提出が必要だ。なお、上記を含めて詳細は税理士など専門家に問い合わせて頂きたい。

事業承継に詳しくなってオーナー社長の信頼を得る

新設された特例措置の概要を理解しておけば、オーナー社長と有意義なディスカッションができるようになるだろう。そのようななか、多くのオーナー社長にとって大きな関心ごとである事業承継に関する深い知識を体系的に学べるのが「プライベートバンカー資格」だ。

50年余に渡り、金融のプロである「証券アナリスト」を育成してきた公益社団法人日本証券アナリスト協会が、2013年にプライベートバンカーとして活躍するために必要な知識を体系化して学べる同資格をスタートさせた。あなたも事業承継に関する深い知識を身につけて、オーナー社長の信頼を得てはいかがだろうか。

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