証券アナリストは証券会社だけのものにあらず あなたの会社にも関係?

証券アナリストは証券会社のものにあらず あなたの会社にも関係?証券アナリストは証券会社だけのものにあらず あなたの会社にも関係?

「証券アナリスト資格」と聞くと何をイメージするだろうか。「アナリスト」はニュースや新聞でよく耳目に触れる言葉だが、実際に何をしているのか、あまり理解していない人も多いのではないか。また「証券」とついているので、証券会社の社員のための専門的な資格と感じる人もいるだろう。

どちらにせよ、株や為替といった金融商品に関する専門資格で、金融機関の社員以外は、あまり関係がないと感じているかもしれない。しかし、実際にはあなたにも関係してくる資格なのだ。今回は、そんな証券アナリスト(CMA)資格について見ていこう。

金融機関以外の取得者も多い

2018年3月時点で、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)資格保有者は26,784名となっている。しかし、資格名称の冠にもなっている証券会社の所属は全体の約20%(5,355名)しかいない。残りの約80%はどのような内訳になっているのだろうか。

所属業態構成比証券アナリストの教育体系所属業態構成比

CMA保有者の内訳(画像:公益社団法人 日本証券アナリスト協会)

証券会社の次に多い所属先が投資運用・助言(アセットマネジメント)の16%(4,272名)であり、僅差で銀行16%(4,267名)が続いている。以降、信託銀行7%(1,822名)、生命保険6%(1,758名)などと続く。このように見ると、やはりCMA資格のマジョリティは金融機関パーソンと言えるだろう。その一方で金融機関以外の事業会社等は全体の約13%(3,577名)にのぼる。この人たちはどのような仕事に就いているのだろうか。

例えば、一般の事業会社においても、資金調達(コーポレート・ファイナンス)を通じた企業価値の向上が求められており、こうした業務のほか、証券会社のアナリストと対峙するIR活動(企業が投資家に向けて財務状況や業績動向に関する情報を発信する活動)においても、CMA資格の知識が役に立つ。具体的には財務担当者、IR担当者、経営企画、M&A関連部署、投資部門、人事部、コンサルタント、ベンチャーキャピタリスト、公認会計士など、金融機関以外でもCMA保有者が活躍できる範囲は非常に幅広い。

近年増えている業界は「商社」

特に近年、CMA取得者が増えている業界が商社だという。それはなぜだろうか。今や商社パーソンの仕事は商品を右から左へ流して儲けるだけではない。有益な企業を発掘し、自らリスクを取り、投資して収益を稼ぐといった、いわばベンチャーキャピタルのような役割が大きくなっている。

証券アナリストの仕事は「企業価値を分析し、それが株価に正しく反映されているかを考察し、投資家に投資アイデアを提供する」ことであり、CMA資格を取得するうえで、企業価値が正しく価格に反映されているかを学ぶことができる。そのため、ベンチャーキャピタルのような役割を求められつつある商社パーソンがCMA資格を取得しているというわけだ。

商売の基本は「価値のあるものを安く仕入れて高く売る」

グローバル化やインターネットの発展によって、いまや仕事の垣根は加速度的に低くなっている。これまでは高い参入障壁を誇っていた業界も安穏としていられない。日本でも大手通信会社が資産運用業に参入したり、大手家具チェーンがアパレル業に参入したりしている。世界的な大手IT企業もモビリティ業界への参入を画策していることは周知の事実だ。

このように考えると、時代に適合するために新しいスキルを身につける必要性は、商社のみならずどの業界の人にも当てはまるようになる可能性がある。ただ、どのようなビジネスであろうと、「良いものを安く仕入れて高く売る」という商売の根本的な考え方は変わらない。価値を分析して、価格に正しく反映されているかを測るスキルであるCMA資格は、現代でこそ真価を発揮すると言えそうだ。

CMA資格は50年余にわたり、金融のプロを育成してきた公益社団法人日本証券アナリスト協会が認定しているものの、証券会社や金融機関の専売特許ではない。むしろ業界間の垣根が低くなりつつある今日において、あなたにも大いに関係してくるものではないだろうか。

>>商売の基本を理論的に学び、時代の変化に対応する

公益社団法人日本証券アナリスト協会は「ASIF(アジア証券・投資アナリスト連合会)」「ACIIA(国際公認投資アナリスト協会)」のメンバーです。
「CMA」「日本証券アナリスト協会認定アナリスト」「Certified Member Analyst of the Securities Analysts Association of Japan」は、公益社団法人日本証券アナリスト協会の登録商標です。

ページ先頭へ戻る

© 2015 The Securities Analysts Association of Japan.
当ウェブサイト内の文章・画像等の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。