2022年6月のCMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)第2次試験では、同じ学部から一気に7名もの合格者を輩出した大学があります。その秘訣とは? 彼らが通う滋賀大学でお話を伺ってきました。
※以下敬称省略。掲載情報は全て作成時のものとなります。
竹内:北村先生の講義は面白いという評判から。印象に残っているのは、バイトするのはもったいない、せっかく勉強できる環境にいるのに、なぜ時給千円でその身を売るんやと。
森野:今のうちに自分に投資して、将来役立つ知識を身に付けた方がいいと言われました。
福原:経済の語源は「経世済民(けいせいさいみん)世の中を経(おさ)め、民衆を救済することだと。そういったお話が面白くて。
竹内 優貴さん
福原:北村先生から「今後の日本で一番輝くのが投資業務」と聞いたことからです。「CMAの勉強で基礎を固め、それらを応用することで将来幅広い分野で活躍できるし、お金もいっぱい稼げる」というお話を鵜呑みにしました(笑)。それに加えて、昔から世界を飛び回るバンカーや証券マンに憧れがあって。
西村:僕は最初大学に入ってまで勉強に力を入れる感じではなかったのですが、北村先生宅でご飯会をやるという話に惹かれて(笑)。実は勉強会の場だったことを後で知るのですが、なし崩し的に自分もCMAの勉強を始め、第2次試験合格まで頑張ってしまいました。
西村 慎之助さん
全員:学生にとっては受講料が高いことです。でもその分、後に引けないという。
福原:単位の履修、サッカー部の活動も忙しくなり、とにかく時間がなかったです。それで、バイト時間を減らしたり、通学電車でのスキマ時間を活用したりしていました。
竹内:僕もウィンドサーフィン部の練習日がハードなのですが、時間の使い方というよりも、同じ部内でもみんなが必ずしも勉強時間の確保を重視しているわけではないので、何を重視するかの考え方の違いに悩んだこともありました。
伊藤:社会人ではないので事前の知識がないことがハードルでしたが、先生は実務経験豊富なので、お話を聞いて具体的なイメージを膨らませるようにしていました。
西村:数学が苦手で、CMAの試験は数学があることを知り最初不安でした。でも勉強してみると数学とは言ってもそれほど広範囲な内容でもなかったので、大丈夫でした。
滋賀大学彦根キャンパス講堂
国登録有形文化財
竹内:僕は、この勉強をやってて、めちゃめちゃ楽しかった。CMAの勉強をきっかけに、経済ならこの先生、会計ならのこの先生と、大学内の多くの先生と一緒に学べる機会が作れました。
福原:まだ就活はこれからなのですが、単純にCMAの勉強を通して財務会計やファイナンスの専門性を獲得できるだけでなく、試験に合格することで、それらに精通していることをCMAという資格として証明できるのは就活に少しはプラスになるのでは、をモティベーションに続けました。
植田:自分が働く際に役立つ知識を身に付けたいという思いです。
福原 秀明さん
伊藤:平均分散アプローチの概念です。勉強する前までは、リスクは負・マイナスのイメージでしたが、証券分析で「リターンの源泉はリスク」という概念を学んで、これはほかのことにも普遍的に当てはまる!と感じて感銘を受けました。
西村:僕は簿記の勉強もしていますが、この会計処理が許されてこちらがどうしてだめなのか、という深い理解ができたのは、CMAの基礎があったからだと思います。会計は過去を整理し、CMAはそれをもとに確率統計等を駆使して未来の発展をみていく知識かと思いました。
森野:CMAで学んだ経済理論を用いて、現実の世界で起きている事象を説明できるところがすごく爽快です。例えばコロナと円安物価高など。あとは、財務諸表でその会社の強み弱みが見えてくるところですね。インターンシップ先でそうした意見を披露しました。また理論と実際の数字やデータとの違いがあるところも、面白いと感じます。
伊藤 翼さん
森野:難しい試験でしたが、乗り越えることができたので、こういう経験があったからこそ、将来壁にぶつかったとしても、何とか乗り越えていけるんじゃないかと自信になりました。
西村:自分の好きなことしかやらない生活で、大学も4年間の自由時間を手に入れるためだったのですが、いろんな出会いがあって勉強を始めることになりました。CMAはやればやるほど、勉強が楽しい、と思えるようになったことですね。
伊藤:めちゃくちゃ興味があってすごく勉強したいという感じではなかったのですが、CMAの勉強を通じて、金融の分野に興味をもつようになり、いろんな媒体を通じて情報を自分から積極的に取りに行くようになりました。
植田:自分に自信を持てるようになりました。就活の際も面接でCMA資格について質問されることが多く、自身をアピールできたと思います。
森野 優斗さん
竹内:世の中から貧困をなくしたい、というのが僕の人生のテーマです。そのために、世界の市況とか経済やいろんな知見を得たうえで、この大きなテーマに携わりたいです。いずれはムハマドユヌス(※)を超えたいと考えています。
伊藤:金融業界で自分が活躍できたらいいなと思っています。ライフワークバランスも重視したいです。
西村:投資家になるかはわからないですが、裕福になりたいです。超大企業にこだわらずライフワークバランスを重視していきたいです。
森野:グローバルで活躍できるようなリサーチアナリストになりたいです。カンボジアに留学予定なのですが、マイクロファイナンスに興味があって、お金が余っているところから、足りない先に融通するような仕組み作りをしたいです。
福原:何らかの形で投資業務や資産運用業務に携わりたいと思っています。雨の日に傘を取り上げるのではなく半沢直樹のように、本当に資金が必要な企業にお金を渡して日本を良くして盛り上げていきたいです。
植田:一番に相談される金融マンになることです。
※バングラデシュの経済学者、実業家。同国にあるグラミン銀行の創設者
講堂から望む国宝 彦根城