事業や資産のこと何でも話せるエキスパートがいるらしい。 プライベートバンカー、参上。

事業や資産のこと何でも話せるエキスパートがいるらしい。 プライベートバンカー、参上。

実務に直結。プライベートバンカー資格とは 実務に直結。プライベートバンカー資格とは

高齢化・長寿化が進むわが国において、企業オーナー経営者や医者、地主などの富裕層が抱える事業承継・相続を中心とした課題に対し、ファミリー全体に寄り添った解決をサポートできる、実践的スキルが身につく資格です。

顧客ファーストのプロフェッショナルとして 顧客ファーストのプロフェッショナルとして

複雑でしかも多岐にわたり、お客さま自身でも把握できていないこともあるファミリーやそのビジネス上での課題。
日本証券アナリスト協会が認定するプライベートバンカー資格者たちは、確かな専門性と高い倫理観をもって、日々こうした課題に寄り添っています。

プライベートバンカー資格者インタビュー|interview プライベートバンカー資格者インタビュー|interview

栗崎真奈美

知識の幅と深さを追求し
すべてのお客さまから信頼される存在に

栗崎真奈美さん
岡三証券株式会社日本橋室町店/エリアコンサルティンググループ

プライマリーPB

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太田英臣

経験と実践を積み重ね
信頼されるPBであり続けたい

太田英臣さん
みずほ証券株式会社/リテール・事業法人部門/ウェルスマネジメント本部/ウェルスマネジメント東京営業部

プライマリーPB

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髙山貴士

PBの知識を活かして
地域の人と企業を支える

髙山貴士さん
静岡銀行/東京営業部/営業第四部

シニアPB

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藤野敬太

数値化できない価値を提供し
複雑化する中堅・中小企業オーナーの課題を解決する

藤野敬太さん
オフィス・ラコルド/代表

シニアPBCMA®

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資格のことをもっと知りたい方へ

プライベートバンカー資格の種類と内容 プライベートバンカー資格の種類と内容

プライベートバンカー資格には3つのランクがあります。

初級

PBコーディネーター

PBの入門編!これからPBを目指す方のための資格

中級

プライマリーPB

PB業務の中核的な役割を果たす方のための資格

上級

シニアPB

専門家としての役割を担う方のための最上位資格

プライベートバンカー資格は、以下の7つの領域を学ぶことができます。

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リレーションシップ・マネジメント(RM)

顧客との信頼関係を構築するために必須のノウハウを学びます。

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ウェルスマネジメント(WM)

企業・市場分析、資産運用・管理に加え、相続・事業承継を学びます。

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不動産

日本人の財産の要!海外不動産活用も含めたメリットと留意事項を学びます。

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税金

資産運用、相続、事業承継と密接不可分な税金を学びます。

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信託・エステートプランニング

富裕層の資産を安定的に運用し、次世代への円滑な承継を支援する方法を学びます。

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マス富裕層

従来のPBでは十分にサポートされなかった、富裕層に準ずる顧客層へのサービス強化を学びます。

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職業倫理

強い自己抑制・顧客への最善を自発的に尽くすことを学びます。

動画で知るプライベートバンカー 動画で知るプライベートバンカー

1分でわかるプライベートバンカー資格取得のメリット

PRIVATE BANKER BUSINESS STORY

栗崎真奈美

知識の幅と深さを追求し
すべてのお客さまから信頼される存在に

プライマリーPB

栗崎真奈美さん
岡三証券株式会社日本橋室町店/エリアコンサルティンググループ

2016年岡三証券に入社。主に資産家層を対象として個人・法人向けの営業を担当。資産運用の提案やアドバイスを行う。学生時代に金融業界に進路を絞り、資格取得に取り組む。2016年にプライマリーPB取得。

投資アドバイスのプロとして成長していくために必要な資格

現在の仕事の内容を教えてください。

主に資産家層を顧客とする岡三証券日本橋室町店にて、営業職として勤務しています。
具体的な業務としては、個人や法人のお客さまから資産運用に関わるニーズを伺い、お客さまにとって最適な投資・資産運用の情報などをご提供するほか、運用目的に合う金融商品のご提案や投資に関するさまざまなアドバイスを行います。
ご存知の通り国内には膨大な個人金融資産があり、さらに近年はゼロ金利、マイナス金利政策の影響もあるため、投資や資産運用のニーズは高まっています。しかし一方では金融商品も多様化しているため、運用方法に迷うお客さまもいらっしゃいます。また、ご高齢の資産家には相続に関するニーズなどもあり、税制などについての情報不足でお困りの方もいらっしゃいます。そのようなお客さまのお手伝いができることや、結果として運用成果が上がってお客さまに喜んでいただけることに仕事のやりがいを感じています。

PB資格を取得したきっかけは何ですか?

岡三証券には社員の資格取得をサポートする制度があり、その中でもPB資格は特に推奨する資格の1つと位置付けられています。そのため、大学4年生の12月からPB資格の勉強を始め、入社前の3月に資格を取得しました。
また、岡三証券グループの経営目標の1つに、「投資アドバイスのプロフェッショナル集団を目指す」というものがあります。これは、PB業務の基本概念である「富裕層ならびにマス富裕層の資産を運用・保全し、効率的な次世代への承継を支援する」という考え方とも合致していると思います。
PB資格は将来的に投資アドバイスのプロとして成長していくために必要だと思いますし、自分の付加価値を高めることができ、キャリアアップにも繋がる資格として魅力を感じました。

多様化・高度化するニーズに幅広く対応できる

PB資格について特徴的と感じたことは何ですか?

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お金に関わるさまざまな分野を包括的にカバーしている点が特徴です。そのため、多様化・高度化するお客さまのニーズに対応するために、もっとも適した資格だと感じます。
ひと口にお客さまのニーズといっても、資産形成、退職金の運用、事業承継などさまざまなものがあり、真の意味でお客さまのお役に立つためには、定型的なソリューションを提供するだけでは足りません。その点で、PB資格は資産運用について幅広く学ぶことができ、広範囲のアドバイスを行う能力を磨くことができます。証券会社の営業職に限らず、広く資産運用に携わる方々にとって実務に直結しやすい資格といえるのではないでしょうか。

日々の業務でPB資格はどのように活きていますか?

今実感している効果としては、お客さまのニーズを聞き取るヒアリング能力の向上に大いに役立っていることです。
お客さまとの商談では、資産運用に対するお考えや目的などを丁寧に聞き取ることが大前提で、その上で必要なサービスをご提供していきます。
金融や資産運用に関してどれぐらい詳しいかはお客さまによってさまざまですが、例えば経営者の方などは、豊富な知識をお持ちで大変勉強熱心な方が多いです。そのような方々に信頼を寄せていただくためには、営業する側も自己研鑽して高度な知識を身につけなければなりません。PB資格の取得は、お客さまの信頼を得るためのベースであり、投資アドバイスのプロとなるための素養の1つになっていると感じます。

資格者であることへの評価が、モチベーションアップにも繋がる

今後の目標を教えてください。

まずは自分の知識をもっと増やし、金融に関する知見を広げていくことが目標です。
私はもともと法学部出身で、在学中に学んだ金融商品取引法に興味を持ったことがきっかけで金融に目を向けるようになりました。金融商品取引法は実に規定が細かく、その内容をまとめるだけで一冊の厚い本ができてしまうほどです。証券会社の営業職としては、法律の他にも、金融制度、個々の金融商品の特徴など、学ぶことがたくさんあります。それらをしっかり理解し、すべてのお客さまからプロと認めていただける存在に近づきたいと考えています。
また、対面営業型証券会社である岡三証券を志望したのは、直接お客さまと向き合いながら資産形成や運用のサポートに携わりたいと考えたためです。

女性ならではの観点があればお聞かせください。

投資アドバイスのプロとしてのサービスをご提供するという点において男女の区別はないと思いますが、お客さまとのコミュニケーションにおいては、例えば女性のお客さまや、お客さまの奥様などのご希望やお気持ちが理解しやすいといった利点はあるかもしれません。女性だからといって特別に気負うということではなく、常にお客さま第一の意識を持って臨みたいと考えています。

目標実現に向けて、PB資格はどのように役立ちそうですか?

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知識の面では、資格取得の勉強そのものが知識習得の機会となりますし、取得後も協会のセミナーなどに参加することで、新しい情報を得ることができます。お客さまと接するという点では、PB資格の学習項目であるリレーションシップ・マネジメント(RM)のノウハウが役立つでしょうし、資産家層について理解を深めることも重要だと感じます。
また、商談でお会いするお客さまの中には、PB資格を持っていることを評価してくださったり、「頑張っているね」「努力しているね」とおっしゃってくださる方もいらっしゃいます。資格自体が説得力や信頼を高める効果もありますが、取得に向けた努力を評価していただけることで、私の仕事に取り組むモチベーション向上にも繋がります。その点で、入社間もない方や、これから社会に出る学生の方たちにもお勧めしたい資格です。

太田英臣

経験と実践を積み重ね
信頼されるPBであり続けたい

プライマリーPB

太田英臣さん
みずほ証券株式会社/リテール・事業法人部門/ウェルスマネジメント本部/ウェルスマネジメント東京営業部

2009年みずほ証券に入社。リテール向けコンサルティングを担当後、ウェルスマネジメント部にて富裕層向けの業務に従事。企業オーナーの事業承継や資産・自社株などの相続関連の業務に携わる。2013年プライマリーPB取得。

富裕層の方々が何を考え何に悩んでいるのか知りたかった

現在の仕事の内容を教えてください。

上場企業と非上場企業のオーナー、超富裕層、アッパー富裕層のお客さまに向けて、総合的な資産管理や、事業承継、相続対策といったソリューションサービスを提供しています。個人として取引いただいているお客さまは200名ほど。例えば上場企業オーナーに対しては自社株の売却等にまつわる税金や相続のソリューション、これから上場するオーナーに対しては、グループ内の他部署と連携しながら関連業務を総合的に担当しています。

PB資格を取得したきっかけは何ですか?

みずほ証券では、富裕層向けの営業をするためにPB資格が必須と位置付けられているため、業務を遂行していく上での必要性から資格を取得しました。
また、私はもともと富裕層といわれる方々の思考、生活、悩みなどに関心がありました。証券会社に就職し、現在の部署へ異動を希望した背景にも、彼らについてより深く知りたいという思いがあります。PB資格の取得は、好奇心と興味を持っていた方々について理解を深める良い機会になったと感じています。
受験してみた感想としては、日常的な業務を通じてある程度の知識の素地があったことが大きかったと感じます。受験前は、業務の中できちんと整理・理解できていないことがあったり、お客さまとのコミュニケーションの中で知らない言葉や情報などが出てくることがありましたが、資格取得に向けて勉強していく中で、そのような疑問点が全体的に解消されたと感じます。

知識・スキルを体系立てて学び、富裕層について理解が深まった

PB資格について特徴的と感じたことは何ですか?

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資格取得の勉強というと、合格することを目的として勉強するといったイメージを持つ人もいると思います。その点、PB資格については合格するための勉強というよりは、資格を取得し、実践で活かすことを前提として勉強するという印象を持ちました。学ぶ要素や項目が具体的な顧客戦略を軸に設定されているため、日々の業務に直結しやすく、実践的な知識として仕事に活用できる点が最大の特徴だと感じます。証券会社や銀行に限らず、税理士、会計士、FP取得者として富裕層営業に携わる人のスキルアップにも繋がると思います。

日々の業務の中でどのような効果を感じていますか?

お客さまと対峙した際に、従来よりもお客さまの本業と資産の両面を広い視野で見ることができるようになったと感じます。
富裕層の方々は、資産を増やすという意識が薄く、どちらかというと守ることに重点を置いている方が多いといえます。そのことは、営業現場でお客さまと会うことによって学ぶことができますが、現場で感覚的に学ぶだけでなく、PB資格を通じて論理的に学ぶ方法を併せ持っておくと、営業に活きる知識やスキルが身につきやすくなるはずです。日本証券アナリスト協会のPBテキストでは、PB業務について実践的かつ体系的に解説しています。私は受験に向けてテキストを熟読し、その結果として、お客さまについて理解が深まったと実感しました。
また、知識とスキルが増えるほど、お客さまへのアプローチ方法や切り口が増えます。その効果として、お客さまが抱える不安や悩みの共有が進み、信頼関係を築きやすくなったとも感じています。

マーケット拡大に伴い、PBの重要性はさらに高まる

今後の目標を教えてください。

常にお客さまに信頼されるPBであり続けることです。そのために、各分野の専門家と互角の知識を身につけ、それらを活用してお客さまの期待に応えていきたいと考えています。
また、富裕層のお客さまにもさまざまなタイプがあります。例えば、長期で家業を営んできた方もいますし、新たに会社を上場するなどして短期で成功した方もいます。
資産形成の背景が異なれば、運用のニーズも違い、我々に求められる役割も変わります。より広い範囲のお客さまから資産運用を任せていただき、自分の提案力や人間性を評価していただくことが、PB業務ならではの喜びであり、やりがいです。そのために、今後も経験と実践を積み重ねていく必要性を感じています。

その際に、PB資格はどのように役立ちそうですか?

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資産の格差が広がっている日本において、富裕層マーケットの拡大は大きな特徴の1つです。これから国内の人口は減少していきますが、富裕層人口の比率は増加していくと予想されます。そのような環境の中で、PB業務の重要性も必然的に高まっていくでしょうし、PB資格者の役割も広がっていくと思います。
資産運用に関連する資格は複数ありますが、PB資格は、実務に直結した実践力の育成に最適だと思います。法個一体の富裕層ビジネスに特化している点も自分の仕事に役立つポイントの1つです。
また、協会では資格取得後の継続教育にも力を入れていますので、富裕層が関心を示しそうなテーマのセミナーや、実際にPBとして活躍している人の講演などが開催される際には、積極的に参加し、自分の仕事に活かしたいと思っています。

髙山貴士

PBの知識を活かして
地域の人と企業を支える

シニアPB

髙山貴士さん
静岡銀行/東京営業部/営業第四部

2005年静岡銀行に入行。法人営業やローン営業を担当後、社内公募による他社への研修派遣制度に応募し、資産家向けのコンサルティングやセミナー運営について専門知識を習得。個人預り資産の推進企画、資産家・会社オーナーの相談業務を担当し、2014年より現職。2015年シニアPB取得。

顧客の目線に立って課題解決策を考えるコンセプトに共感

現在の仕事の内容を教えてください。

静岡銀行の東京営業部にて不動産投資に関わる融資業務に携わっています。お客さまは、これから資産を形成していく30〜40代のフローリッチ層が中心で、比較的年齢層の高い資産家層に向けた資産保全や事業承継の提案を行うこともあります。
年齢や資産構成などによりニーズは異なりますが、富裕層の相談業務では幅広い分野の知識と話題が必須です。より良い提案ができるように、日々、不動産業界の動向、物件の見方、投資に対する理解を深めつつ、資本戦略や資産運用などの知識習得にも努めています。

PB資格を取得しようと思った理由は何ですか?

入行8年目に他社への研修派遣の機会を得て、豊富な実務経験を持つメガバンクOB・OGによるコンサルティング業務を間近で見ることができました。当時、私は1級FP技能士の資格を取得済みでしたが、資格を使いこなし、実務に活かすという点で、自分はまだスタートラインに立っただけに過ぎないと感じました。その経験などがきっかけとなり、自分を高めていくための良い題材としてPB資格に注目しました。
PB資格は、FPと証券アナリストの主要な要素を押さえつつ、顧客の希望や目的を大事にしながら課題解決策を考えていくというコンセプトを持っています。その点で共感できたことと、地方銀行の業務に必要なリレーションシップ・マネジメント(RM)、相続、事業承継に重きを置いている点にも魅力を感じ、シニアPB取得に取り組もうと決めました。

PB資格の取得は実務レベル向上の最短距離

PB資格について特徴的と感じたことは何ですか?

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学ぶ内容が非常に実務的であると感じました。
例えば、相続、税制、不動産、ポートフォリオ運用などの知識は相談業務のベースとなります。また、富裕層のニーズ・特性の理解、RM(リレーションシップ・マネジメント)の知識などは、顧客とのコミュニケーションの前提となります。事業承継や信託の知識は、担当業務や所属部署によっては経験することが少ないかもしれませんが、PBとして押さえておきたい知識といえるでしょう。取得の過程で顧客が求める知識をバランスよく習得できる資格だと思います。
また、資格試験では細かな知識の詰め込みや、ひっかけ問題対策が求められることがありますが、PB資格についてはそのような勉強がほとんど必要ありません。特に昨今はインターネットで手軽に検索ができるため、金融、運用、税などに関する情報は簡単に入手できます。
そのような環境の下で我々に求められるのは、規定等をすみずみまで暗記することではなく、幅広いニーズと話題に対応し、専門家のコーディネートもできる真の相談相手になることです。その点で、PB資格の取得は実務に活きるスキルを身につける最短距離になると感じました。

スキルやキャリアの面でどのような効果を感じていますか?

地方銀行の業務には、RMを重視して顧客と向き合い、課題解決するためにさまざまなスキルが必要です。基本的なことですが、資格取得を通じてその点を再認識することができたと感じています。
例えば事業承継は企業経営における大きな課題であるとともに、経営者個人に関わる人生の課題ともいえます。我々の使命は、幅広い分野のスキルを総動員して、全体最適な提案を通じて事業と経営者家族の両方を守ることなのです。
その相談先として当行や自分を選んでいただくためには、RMが非常に重要です。金融、会計、コンサルティングに従事する人にも同じことがいえるでしょう。「今よりも一段高いレベルのアドバイスをしたい」と考えている人にとって、PBはスキルアップ、キャリアアップの効果が見込める資格だと感じます。

会社、家族、地域の未来を信頼して任せられるバンカーを目指す

今後の目標を教えてください。

地方銀行には、地域の人と企業を支える役割があります。昨今の人口減少・首都圏への流出は地域経済基盤への影響が大きく、静岡銀行にとって地方創生への取り組みは重要な経営課題の1つです。日々の活動を通じて、安定的な雇用創出、人のつながりの強化、魅力ある生活環境の整備などを支援し、地域の発展に貢献したいと考えています。

その際に、PB資格はどのように役立ちそうですか?

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地域に夢や豊かさを広げるためには、地域の活力や雇用の源である優良な事業を次世代に繋いでいくことが重要です。この分野でPB資格を活用できると考えています。
また、PB資格は始まってからまだ3年程のため、現状としてPB資格の認知度はそれほど高くありませんが、これから多くの人に知っていただくことで「大事な相談はシニアPBに」と考えるお客さまが増えるかもしれません。資格取得者が質の高い相談・提案を積み重ねることで世間の評価も高まっていくと思います。
私にとってのPBとは、お客さまが自分の「プライベート」を委ねたいと思える、信頼できる「バンカー」です。今後、自分がどのような業務を担当していくかはわかりませんが、「すべての業務がPB業務」という心構えを持ち、常に目の前の顧客と全力で向き合いながら、最適な提案を追求していきたいと思っています。

藤野敬太

数値化できない価値を提供し
複雑化する中堅・中小企業オーナーの課題を解決する

シニアPBCMA®

藤野敬太さん
オフィス・ラコルド/代表

1997年、経営コンサルティング会社に入社。2001年から2013年まで国内系アセットマネジメント会社に勤め、アナリスト、ファンドマネジャーとして活動。現在は独立し、中堅・中小企業向け経営支援や、アナリストレポートの執筆、メディアへの寄稿を行っている。2015年にシニアPB取得。

中堅・中小企業の重要性を実感し、彼らを支えたいと思った

現在の仕事の内容を教えてください。

個人事業として、ファミリー(家庭)向けにファイナンシャルプランニングサービス、ファミリービジネス(家業)をはじめとした中堅・中小企業向けにアドバイザーサービスを提供しています。
前職では10年以上にわたって日本株の運用に携わりましたが、もっとも長く経験したのが中小型株の運用です。アナリストやファンドマネジャーとして各企業のマネジメント層の方々に数多くお会いしていく中で、中堅・中小企業の層の厚さこそが、日本の社会の強さの源泉であると強く感じました。
また、仕事とは別のところで、日本のものづくりの産地を応援するNPOの理事を3年間ほど務める機会があり、地方の産地を支えるファミリービジネスについての知見を広めることができました。そのような経験を踏まえ、中堅・中小企業の多くを占めるファミリービジネスとそのファミリーの力を強くする仕事をしたいという思いが強くなったところに、独立する機会が巡ってきました。

PB資格を取得しようと思った理由は何ですか?

ファミリーとファミリービジネスの課題は明確に線引きするのが難しく、課題も多岐にわたります。家族と事業の課題が複雑に絡むため、本当に解決すべき課題が、お客さまが想定していないところにある場合もあります。例えば、相続対策で悩むお客さまから詳しく話を聞いた結果、実は相続そのものよりも後継者選びの悩みの方が深刻だったり、根本的な原因が家族内の人間関係にあるとわかったりすることがあります。
このような課題を解決していくためには、金融や資産運用分野における専門性だけでは不十分で、まずはお客さまと十分に話ができるための網羅性が必要です。そのスキルを身につける必要性を感じていた時に、PB資格の存在を知り、受験しようと考えました。

PB資格の特徴を活かして、多様な相談ごとの受け皿になる

ファミリービジネスや中堅・中小企業の課題解決に、PB資格はどのように役立ちますか?

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ファミリービジネスの研究では「スリーサークルモデル」という概念が出てきます。これは、ファミリービジネスを「事業」「所有」「家族」の3つの視点で捉える考え方です。
証券アナリスト資格(CMA®)は主に企業の定量的な分析をカバーするもので、スリーサークルモデルでは「事業」と株主による「所有」が中心になります。
一方のPB資格は、リレーションシップ・マネジメント(RM)やファミリーガバナンスといった定性的な部分にも目を向けているという大きな特徴があり、スリーサークルモデルでは「家族」と財産の「所有」が中心になるといえます。
私は前職の時にCMA資格を取得し、企業分析などを行ってきましたが、ファミリービジネスを対象とするために、シニアPB資格を取得しました。2つの資格を組み合わせることにより、スリーサークルモデルの全体の領域をカバーできると考えています。
ちなみに、未上場企業は個人経営と家族経営が大半を占めますが、「ファミリービジネス白書(同友館)」によると、日本の上場企業の中でも53%がファミリービジネスなのだそうです。2社に1社がファミリービジネスであると捉えれば、上場企業を分析する方にも「家族」という視点が重要で、PB資格が役立つケースも多いだろうと感じます。

キャリア面でどのような効果が期待できますか?

専門性と網羅性を「T」の字で例えてみると、「T」の横棒が網羅性、縦棒が専門性と位置付けることができます。
その中で、PB資格は横棒を広げ、お客さまにとって「とりあえず相談できる相手」となるために必要不可欠なものだと感じます。
ファミリービジネスのオーナーの中には、どこに相談すれば良いかわからない方や、何を相談すべきか見えていない方もいらっしゃいます。こちらの横軸を広げ、そのようなニーズを受け止めることができれば、より多くの人に、より的確な支援ができるようになるでしょう。もし、私一人では解決できない課題であれば、解決できる人を紹介することもできますし、他の専門家とチームを組んで解決することができます。その方が、おそらくお客さまが最善の解決策を得る可能性が高くなるはずです。

自分にしかできないことを考え、1対1で課題と向き合う

今後の目標を教えてください。

経営や運用が複雑化する中で、自分だからこそできることを追求し、実行していくことが大きな目標です。
昨今、金融の世界でもAI(人工知能)の活用が進むと言われるようになりました。AIは、あらゆる選択肢の中からもっとも勝てる方法を選んでくれます。しかし、ビジネスは必ずしも大きく勝つことが目的とは限りません。売上急増よりも安定的に売れる定番商品を作りたいなど、勝つというよりも負けない経営を目的としている人もいらっしゃいます。
個人の資産運用においても、年5%の運用目標と設定すればAIが最適な商品を選んでくれるでしょう。ただし、なぜ年5%なのか、もし目標を4%や6%にした時にどんなリスクや影響があるのかは人が考える分野です。
このように考えると、AIと人はお互いを補完する関係といえますし、これからAIでカバーする分野と人がカバーする分野の棲み分けが進むと思います。特にファミリービジネスのように家庭内の環境や人間関係が影響しやすい分野は、人が入って課題解決のための「交通整理」をすることが重要ですので、その役割を果たしていきたいと考えています。

その際に、PB資格はどのように役立ちそうですか?

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PBには「バンカー」という言葉を含むこともあって、お金を扱う人という印象が強いのですが「プライベート」という言葉がついていることも見落としてはいけません。「プライベート」は「個人的な」という直訳の意味よりも、お客さまとPBの「1:1の人間関係」と捉えた方が、実態に即していますし、意味としてもしっくりくるように思います。「1:1」の関係性を常に重視しながらお客さまと向き合っていくという点で、PB資格は自分の仕事に役立つと考えています。
また、PBとして提供できる価値は、「これだけのリターンが得られた」といった定量的なものと、「事業承継がスムーズに進んだ」「後継者がやる気になった」といった定性的なものに分けることができます。あくまでも私の感覚ですが、ファミリービジネスのオーナーや家族は、定性的な価値の方をより強く求める傾向があると思います。PB資格ではRMなど定性的な部分のスキルを含むため、そこに重点を置くことによってPBとしての価値がさらに高まると思います。