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最先端のスキルと厳格な職業倫理を身につけた
金融プロフェッショナルを育成する「証券アナリスト資格(CMA)」
1981年、初の検定会員誕生以来、金融と経済のプロとして、証券や市場の評価分析のみならず
銀行や保険会社、一般事業会社のIR、財務、経営などを担い、多くの企業を支えています。

中空麻奈さんインタビュー 中空麻奈さんインタビュー

BNPパリバ証券 投資調査本部長の中空麻奈さん。クレジットアナリストの先駆者であり、財政制度等審議会委員として国の財政についても意見を求められるトップアナリストの1人です。そんな中空さんにクレジットアナリストのお仕事や、証券アナリスト資格を持つメリットについてお話をうかがいました。

クレジットアナリストとは クレジットアナリストとは
企業や国の支払能力や発行済債券の信用分析を行い、評価するアナリスト。信用力にランキングをつける格付機関のアナリストもいれば、債券投資家に対して情報提供を行うセルサイド、バイサイドのアナリストもいる。中空さんはセルサイドのクレジットアナリスト。

数字とストーリー。

− セルサイドのクレジットアナリスト。その主な役割は何でしょうか?

債券価格やクレジットスプレッド(※)がどうなっていくかを見極めて投資を促し推奨していくのが、セルサイドクレジットアナリストの仕事です。相対的な信用力の序列を格付として示す格付機関のアナリストに対して、我々はその信用力序列の中の間違い=投資機会をみつける役割といえます。同じクレジットアナリストでも出してくる答えが違ってきます。

※クレジットスプレッド … 信用力の差による利回りの差のこと。発行体の債券を相対的に評価する指標となる。

− 出してくる答えが違う、なぜ違ってくるのか、あるいはどうやって違いを出すのでしょうか?

要因は2つあります。1つは、数字の見方と時間軸です。クレジットアナリストの分析の主眼はお金が返ってくるかどうかです。銀行との関係、お金の使い方、キャッシュフロー、偶発債務の有無などマイナス要素のチェックをまず、徹底的に行います。扱っている数字はみな同じなので、この部分は誰がやってもそれほど変わりません。しかし、その数字をどの幅で見るかで違いが出てきます。また、同じやり方で評価を続けていないと、微妙な変化を捉えるのは難しいものです。どの指標を使って、どれだけ長く見ているかでも差が出ます。もう1つは、定性分析の部分。どれだけのことを含めて見ることができるかだと思います。日本経済、世界経済、マーケットの向かう方向。その見方で違いが出ます。私たちはそれをクレジットストーリーと呼んでいます。

半歩先の未来へ。

− ストーリーの描き方について教えてください。

この企業はこんな道筋で利益を出せるのではないかと、より多くの人が違和感なく納得できるストーリーを、裏付けとなる数字とともにまとめあげます。クレジットはセクターで区切れる訳ではないので、ソブリン(※)も含めどの業界についてもどの国の話も出てきます。信用力の変化に関することは全てが守備範囲です。どれだけ幅広く、関心事に焦点を当てていけるかが大切です。加えて、その中でどこが動くかを早めに見極めるのがその人のセンスと言えるでしょう。例えば、人が関心を持つ前に先回りして情報を集めておくといった準備ができれば相当なものだと思います。他の人より半歩先にどれだけ行けるか、描けるか。これがクレジットアナリストの醍醐味のひとつではないかと私は思っています。リーマンの破綻も半歩先にいれば予見できたはずですよね。アナリストのやりがいは私の描いたストーリー、意見によって投資家の方々からいただける「ありがとう、よかったよ」のひと言に尽きます。正しくても誰にも読んでいただけないストーリー、レポートでは意味がありません。より多くの方に読まれ、かつ役立てていただくことが我々の仕事のやりがいだと思います。とても難しいことですし、ひとりでできることには限界もあり、チームのメンバーはもちろんセールスやトレーダー、広報の方々など会社の皆さんの支えがあって成り立っている仕事でもあります。

※ソブリン=ソブリン債券。各国の政府や政府機関が発行する債券の総称。

Yes or No?

− 仕事の中で心がけられていることなどはありますか?

それが企業にとってプラスであっても、マイナスであっても正しいと思うことを言い、どう利益につなげていくかを言うのがクレジットアナリストとしての矜持だと思っています。そのうえで、買いなのか売りなのか、Yes or No? のジャッジをなるべくはっきりさせ、伝えることを心がけています。もちろんそのための取材も行い、客観的に評価できるよう、対象となる企業だけでなく各方面に取材して裏付けを取っています。取材力、ネットワークもとても大切です。格付については格付不要論などもありますが、私はそうは思いません。客観的な指標として投資家が利用できる有効な情報源であると思います。しかし、特に最近その傾向が顕著なのですが、マーケットの動きを追い過ぎた格付の変更が垣間見られ、疑問があります。3〜5年先に債券が返ってくる確度にしたがって格付けを判断すること、この基本に立ち返っていただきたいと思います。ブレてはいけません。

マーケットに惹かれてアナリストへ。

− バイサイドのクレジットアナリスト第1号と呼ばれていたとうかがいました。

はじめはエコノミストとして野村総研で仕事をしていましたが、その後、マーケットに接したいという思いから野村アセットマネジメントに移り、クレジットアナリストとして配属されました。バイサイドのアナリストとしてスタートを切った訳です。当時はバイサイドのアナリストというのは一般的ではなく、社内でも国内バイサイドでは第1号と言われていました。この時、アジア危機や日本の金融機関の破綻などがあり、クレジット分析のダイナミズムを感じられたことは大きかったと思います。

CMAは、常識。

− 証券アナリスト資格(CMA)取得には企業の後押しがあったとか。

野村総研では入社3年目までにCMAを取ると、その費用を会社が全て負担してくれていたと記憶しています。会社からは「それが常識だから」という理由で取得を奨励されていました。確かにリサーチをするうえで重要な項目が網羅されており、金融に関する知識のおさらいという意味で的を射ているなと、今は思います。幅広くものを見る目が持て、どのような分野についても大体アタリがつく、最低限の基礎が身についたかなと。一定水準以上の知見を持って話ができないことには投資家の方々に失礼だと思いますし、金融に携わる以上、常識として持っていて当たり前の資格ですね。

何でも知りたがるという資質。

− 最後にアナリスト、金融業界を目指す後輩たちにアドバイスをお願いします。

アナリストとして持っていて欲しい資質は、好奇心が旺盛であることです。何にでも首を突っ込むような好奇心旺盛な人がアナリストには一番合っていると思います。女性に向いているとも言えます。何でも知りたがる気持ちで数字を見れば、世界は面白いことで満ちていることに気づくはずです。またクレジットアナリストの判断の基本は、お金を返してくれるかどうかです。総合的に情報を整理したうえで、損得勘定をしているのに近く、いわば誰にならお金を貸せるか、あるいはどっちのランチが得か決める行為にも似ていて、毎日の生活でも行っているものです。金融の中でもリサーチについては女性の比率が高いと思いますし、必ず活躍のチャンスが来るという気概を持って、ぜひ多くの方にチャレンジしてほしいです。

Profile
中空麻奈(なかぞら・まな)
BNPパリバ証券投資調査本部長
1991年 慶應義塾大学経済学部卒業。(株)野村総合研究所に入社し1997年 野村アセットマネジメント(株)に転籍。クレジットアナリストとして金融セクター、ソブリンを担当。以降クレジットアナリストに従事。2000年 モルガン・スタンレー証券(株)に移籍し事業会社セクターを担当。2004年 JPモルガン証券(株)に移籍、クレジット調査部長として全セクターをカバレッジとした。2008年よりBNPパリバ証券クレジット調査部長。2011年より現職。2016年1月より財政制度等審議会委員等
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佐治信行さんインタビュー 佐治信行さんインタビュー

三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 チーフエコノミストの佐治信行さん。法学部出身でありながらアナリストとして経歴をスタートさせ、現在では、エコノミストとして絶対的な信頼と評価を得ているトップアナリストである佐治さん。まだ起きていないことを「予見する力」について、どのように培ってこられたのか、お話しくださいました。

エコノミストとは エコノミストとは
エコノミストは、金融機関、シンクタンク、官公庁、大学などで経済の動きや諸問題に関する調査・分析・予測などを行う専門家。証券会社においては、顧客である投資家のために役立つ経済の情報分析や調査、将来の予測等を提供しています。

エコノミスト = 解説者 ?

− エコノミスト=経済ニュースの解説をしている人というイメージがあります。

確かに経済事象の分析やニュースの解説をする人というイメージをお持ちの方は多いでしょう。しかし、私のような証券の世界にいるエコノミストは、起きた出来事に対する解説や情報提供だけでなく、いま起きている現象が1年先、2年先、3年先にどういう経済的な現象を引き起こすかを予見し、投資家に提供しなければなりません。まだ起こってもいないことについて裏付けと共に情報提供しなければならない。その点が証券におけるエコノミストと、他の分野にいるエコノミストとで大きく違うと思います。

AIが決算レポートをする時代に。

− 予見と分析の違いということですが、具体的にはどういったことになりますか。

例えば、さまざまな数字をまとめてつくる決算レポートというのがありますが、これをAIに書かせるケースが出てきました。何が起きたか、分析して数字にまとめるのは現状のAIでもできるわけです。しかし、予見するためには、不確定要素や不安定な要素もすべて組み込み、その先の変化を予測しなければなりません。それらすべてをパターン化するところまでは、まだ至っていないということです。AIで果たしてそんなことが可能かどうか。注目はしています。

− AIでレポートとは驚きました。しかし、なぜパターン化できていないのでしょうか。

たとえ話になりますが、物理化学ではH2Oを分解するとHとOが生まれるのに、経済では突如Cが生まれるということがあるのです。思いもよらないところからルールはおろか野球で言えばバットやボールの形まで変わってしまう。経済は常に変わりますし、その変化に対して人間がいつも合理的な判断をするとは限りません。ミステイクをする場合もあります。それらすべてを妥当な形で加味し、その都度予見を立てるには経験の積み重ねが不可欠だから、ではないでしょうか。

プロセスあっての予見

− 経験を積み重ねるために何か心がけてこられたことなどあればお教えください。

その数字はどのようなプロセスを経て出てきた数字なのかと、納得いくまできちんと突きつめることです。目の前の結果に至るまでの大きな流れをさかのぼる、そんな経験をどれだけ重ねられるか。アナリストとしてスタートしたことはその意味で大きかったと思います。企業の広報や経理、財務など経営に近い方たちに毎日、直接取材をさせてもらい、数字とその出所、根拠を追いかけるという訓練をさせてもらいましたから。プロセスをパーフェクトに理解したうえでなければ予見はできません。そのために必要な、取材する力、裏付ける力、理解し予測する力。アナリストの経験を通して身についたものです。

先読みをして取った資格

− しかし、ご自身はあまり資格などお好きではなかったとか。

正直なところ、資格を持つよりトップアナリストになるのが先だと思っていました。しかし、試験の内容が変わると聞き、また証券会社以外の人たちもこの資格を取得していると知って受験を決めました。取るなら今だと。1990年代の当時、事業会社への取材は証券会社の特権に近いものでした。他からの取材は多くの場合、断られていたと思います。その状況に銀行やシンクタンクなどが、この資格を持ってチャレンジしてくるのではないかと考えたわけです。

− 予見された通り、時代はディスクロージャーの方向へ進みました。

確かに。今では誰もが企業の情報を得られます。数字として、情報としてはそうです。しかし目の前にいる人間が信頼に足る分析力を持ち、的確に情報発信してくれるかどうか。情報を提供する企業側から見たときにCMA資格はひとつのベンチマークになるはずです。間違いがなく伝えてくれる人、という意味で。そうやって引きだした情報を、より詳しい分析や予見に活かせるかどうかは受け取った人間の資質だとは思いますが。

真実への好奇心を。

− アナリストとして、あるいはエコノミストとして必要な資質とはなんでしょうか?

若い人にということでしたら、好奇心を持ってもらいたいと思います。それもなんでこうなるのか?と、本当のこと、真実を追いかける好奇心をです。数字のつじつまだけを追いかけるような狭量な好奇心ではなくてね。エコノミスト、アナリストという職業は本当のことを言って喜ばれる希有な仕事です。世間では本当のことを言ってしまうと嫌われてしまうことがしばしばあります。しかし、証券アナリストだけは本当のことを言うと喜ばれます。これがたまらなくいいんです。こんな仕事、他にはないと思っています。

− CMA資格はその役に立っていますか?

もちろんです。名刺にこの資格が記載されていることで堂々とモノが言えます。本当のことをいって良い、と名刺に書いてあるのだと私は思っています。はじめに分析と予見は違うと言いましたが、予見する力を身につけるために必要なのは、CMAの資格に代表されるような、最低限ここまでは準備しておかなければいけないという素養。資格を取得した人、若い人たちが教育やアドバイスを受けられる環境や組織。そして経験の積み重ねだと私は考えています。まずはスタートラインに立つつもりで資格取得を目指して欲しいですね。

Profile
佐治信行(さじ・のぶゆき)
三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 チーフエコノミスト
1982年関⻄学院大学法学部政治学科卒業。同年、日興證券株式会社(現、SMBC日興証券)入社。 株式会社日興リサーチセンターへ出向し、事業調査部、証券調査部、経済調査部、投資戦略部を経て、1999年に興銀証券株式会社(現みずほ証券)エクイティ調査部へ。2006 年より三菱UFJ 証券株式会社(現三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券)エクイティリサーチ部に所属。専⾨分野は国内外マクロ経済(実物経済、⾦利・為替)。
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斉藤克史さんインタビュー 斉藤克史さんインタビュー

野村證券株式会社 エクイティ・リサーチ部 パンアジア インダストリアルズ リサーチヘッドの齋藤克史さん。野村一筋、機械産業を見続けて20年以上というエクイティ分析のエキスパートです。その齋藤さんに決算期のお忙しい中、お時間をいただき、セルサイド、特に証券会社におけるアナリストの役割や仕事の流儀についてお話を伺いました。

エクイティとは エクイティとは
エクイティとは、株式等によって調達された返済義務のない資金のこと。 株式以外にも、株式に関係する金融商品全般をさすこともあります。齋藤さんは企業の株価の評価や分析、今後の予測など、エクイティの変化を分析・予測し、投資家に情報提供をするセルサイド、株式をセールスする側のアナリストです。

産業全般を視野に

- 担当領域の"インダストリアルズ"とは、何を指すのでしょうか。

"インダストリアルズ"を直訳すると"産業、工業"で幅広い領域ですが、私自身はその中で「機械」を中心に見ています。設備投資と言うときの「設備」の部分というと少し分かりやすいでしょうか。例えば建設や工事の機械、産業ロボット、それらを支える部品などのメーカーが担当です。何かを作るための機械ですから携わる産業は多岐に渡ります。そういった意味では産業全般の動きを視野に入れているわけです。

数字を裏付け、肉づける。

- 守備範囲がとてつもなく広いように感じます。

確かに大変に見えるかもしれません。分析のやり方としては、まずは全体を構成するひとつひとつの要素を分析し、その次にそれらをつなぎ、すり合わせて全体像をつかむ、ということになります。われわれの職業ではよく定量と定性という言葉を使いますが、決算書など数字にして換算できる要素 <定量> と、トップの方針、戦略、企業の文化など、目に見えない、数字で把握しにくい <定性> の両方をすり合わせ、取りまとめる形で、半年先、1年先、さらには3年先、5年先の企業価値について予測を行います。産業の根幹に位置する企業の分析をするわけですし、世界経済の動向も関係してきますので、定量的にも定性的にも関係する要素はたくさんありますが、その中で重要なものを理解し、きちんと数字に基づいて考えられれば、予測を立てることは可能です。決算書というファクト、その数字を元に徹底的に分析をし、その背景にある定性的な要因を把握し、将来を予想するのが基本で、まずはファクトをしっかり分析すること。それがすべての始まりです。そこからいかに掘り下げられるかが大事で、例えば工場など現場を見るために、国内や海外へ定期的に出張します。そこで得た情報や認識を数字のイメージとつなぎ、その企業全体の将来について予想の確度を高めていくこともできるわけです。

- 予想の確度を上げる基本は分析、さらにどこまで深堀りできるかということですね。

そうです。そして、そうやって予想した業績や株価は、当たることも外れることもあります。なんでこういう結果になったのか、どこを見誤ったのか、あるいは何が足りなかったのか、など、自分の出した予想に対して常に結果をフィードバックして省みる事も大切です。当たった場合でも分かったつもりにならず、過去は過去と、実績に縛られず謙虚にやらなければいけません。この仕事は「これまで」でなく、常に「ここから」という将来が大事だからです。これが、資産運用業界の大変なところだと、私は思っています。

アナリストは業界のご意見番?

- 齋藤さんは人気アナリストランキングで常に上位にいらっしゃいます。

われわれの仕事の第一義は、あくまで投資家の利益になることです。私は投資を募る側(セルサイド)のアナリストですが、投資して運用する側(バイサイド)にもアナリストはいるわけで、役に立たなければ淘汰されるものと考えています。確かに1つの領域を10年20年と担当すれば、その業界の専門家になりますが、それはあたり前のことであって、何も特別なことではありません。自分が「業界のご意見番」であるかのように勘違いしてはいけないと戒めています。

- 投資家の利益が第一ということですね。

そうです。加えるなら、これだけ真剣に企業のことを外から見つめている人間は他にあまりいないので、事業会社にも役に立つかもしれません。実際、経営陣の方々に、アナリストや投資家からその会社がどう見えるか、についてお話しすることもあります。しかし、あくまで投資家の利益に役立つアドバイスができるか、予測が立てられるかが仕事の成果を出す上でも、仕事に向かう姿勢としても、とても大切なことなのです。

証券アナリスト資格(CMA)について

- CMAの資格はどのように役立っているとお考えですか?

企業の財務分析、証券分析の手法や経済について体系的に学べる機会というのは、大学でも会社に入ってもあまりありません。金融に携わる上でのリテラシー、ベースの考え方を身につけることができる資格だと思います。数字の分析はもとより、定性的な要素を数字に結び付けて考えるという、分析的なアプローチを早い時期に身につけておくのは大きいでしょう。野村では会社に入ったら取るのがあたり前というか、常識になっていて、私も入社4年目頃には取得していたと思います。

- 証券アナリスト以外の領域にいる方にとっても意味はありますか?

金融という観点で企業価値を算定する、そのアプローチや見方は証券アナリストに限らず他の仕事でも役立てられると思います。CMAの勉強をすると分析の切り口が身につきますし、企業活動や経済を多面的に見ることもできるようになります。ひとことで言えば視野が広がるということなのですが、数字から、そこで起きている本当のことをつかむ、探し込む武器になる。また職業倫理や行動基準についても体系だって学べ、ビジネスをする大人として知っておかなければいけない倫理観も身につく。ものごとを見るベースが幅広くなり、奥行きが深くなる。汎用性が高い資格だと思います。

- 最後に。証券アナリストに必要な資質とは?

第一に知的好奇心が強いことです。物事を理解するために、まずは深掘りし、次に分野を超えてつなぎ合わせて、起きていることの全体像をつかむ、そういうことに好奇心が持てることだと思います。2つめは打たれ強いこと。予測は大概外れますから。くじけず次へ向かえなければやっていけません。3つめは視野の広さです。専門を深掘りするだけでなく、いろいろな物事にアンテナを張っていることも大事です。グローバル化、IT化が進む、これからの世界ではなおさらです。最後にもう1つ挙げるとすれば謙虚であることです。先ほどお話しした通り、予測と結果の違いを謙虚に受け止め自分にフィードバックできなければ成長は止まってしまうと思います。

Profile
齋藤克史(さいとう・かつし)
野村證券 エクイティ・リサーチ部 デピュティ・ヘッド
パンアジア インダストリアルズ リサーチヘッド マネージング・ディレクター

1988年東京大学教養学部(国際関係論)卒業、野村総合研究所に入社。92~95年にフランクフルトでドイツ産業・企業の調査、96年から日本で機械セクターを担当、09年からパンアジアの担当となり現職。証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定ディスクロージャー研究会 機械専門部会 部会長。
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さらに広がる活躍の場 証券アナリスト活躍の場

証券アナリスト活躍の場は、資本市場の発達と高度化に伴って、大きく広がっているだけでなく、よりいっそうの専門化が進んでいます。

業種、職種も多岐にわたり発言に対する責任も求められることから法令遵守「コンプライアンス」への高い意識を持つことも求められます。

業種、職種も多岐にわたり発言に対する責任も求められることから法令遵守「コンプライアンス」への高い意識を持つことも求められます。

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