図書紹介

ケース別 事業承継対策Q&A
~事例でわかる解決へのヒント~

太陽グラントソントン税理士法人 著(清文社)

 本書は、オーナー経営者が事業承継や相続問題などで抱える課題について、実際の事例を一般化し、Q&A形式で具体的な解決策を解説している。

 まず概要編では、事業承継を考えるうえでは、経営権の承継と資産の承継の両方の対策が求められることを示し、さらに経営権の承継については、後継者がいる場合といない場合を分けること、資産の承継については、株式の評価の引き下げ対策、生前贈与等による株式の数量減少対策、納税資金対策が求められることを述べている。

 事例編では、実際にあった50の事例を、①相続・贈与、②事業承継、③株価対策、④組織再編、⑤信託・不動産、⑥持ち分の定めのない法人、⑦その他の7つのカテゴリーに整理して、詳しく説明している。

 ①相続・贈与では、毎年同額の贈与や幼い子へ資産移転した後の注意点、海外居住者の相続税と国外転出時課税制度、相続時精算課税制度、遺言書の効力、遺産分割協議に関する留意点などを取り上げている。

 ②事業承継では、筆頭株主が配偶者や複数後継者に分かれる場合や、資産保有型会社での事業承継税制について、また種類株式・属人的株式、役員持株会などを用いた対策の注意点を述べている。

 ③株価対策では、役員退職金支給、増資時の取引相場のない株式評価、会社規模の変更、有価証券評価損の取り扱いなどについて解説している。

 ④組織再編では、持株会社化の手法(株式交換と株式譲渡の違い)、分割型分割、100%親子会社間での資産移動、資産管理会社での多額の借入金返済の事例を取り上げている。

 ⑤信託・不動産では、資産と債務をセットにした信託契約、民事信託を活用した株式承継、不動産管理会社の活用、受益者連続型信託における登録免許税及び不動産取得税などについて説明している。

 ⑥持ち分の定めのない法人では、社団法人・財団法人を利用する際の留意点、公益財団法人と一般財団法人の違い、一般社団法人を活用した株式の買い集めについて述べている。

 ⑦その他では、兄弟間で株式を相互保有している場合、取引先の上場企業が持つ株式の買い取り、法人から地方公共団体への寄付などを取り上げている。

 これらのケーススタディでは、冒頭の相談内容で具体的な計数を提示し、解説ではシミュレーションを行って結論を導き出しており、理解しやすいように工夫されている。

 本書は、オーナーからの相談に受けるPBにとって、解決のヒントを得るのに有用である。

 著者は、事業承継,相続、民事信託、財団法人設立・運営に関するコンサルティング業務に従事する税理士・公認会計士から構成されている。

目次

Ⅰ 概要編
  1.事業承継をめぐる現状
  2.事業承継の考え方
Ⅱ 事例編
 第1章 相続・贈与
 第2章 事業承継
 第3章 株価対策
 第4章 組織再編
 第5章 信託・不動産
 第6章 持ち分の定めのない法人
 第7章 その他

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