図書紹介

一族内紛争を予防・解決する ファミリーガバナンスの法務・税務

大石篤史、間所光洋、中田光彦、安部慶彦、片山和紀 著(中央経済社)

 本書は、創業家・資産家一族およびそのサポート役のPB・税理士・弁護士・番頭等向けに、創業家・資産家一族の内部における利害対立・紛争の解決・予防に役立つ一族内合意、すなわち「ファミリーガバナンス」について、法務および税務の観点から解説している。

 著者は、わが国では相続税率が高いため、事業や資産の承継にあたり税務面のプランニングが最優先された結果、利害対立や紛争が生じているという。このため、本書のアプローチは「一族全体」の利益=相続税額の最小化との観点ではなく、一族に属する「各人」の利益の増大を重視する立場からスタートしている。そこから合意形成を図っていけば、各人が自ずと一族全体の利益に沿った行動をとることに繋がり、一族の繁栄=各人の資産価値の増大と一族全体のレピュテーション(名声)の向上=各人の幸福度の増大になると考えている。

 これまでは、血のつながった者同士の了解事項である家訓はあったが、それだけでは解決できない場合に備えて、今後はルールとして法的な契約(信託、後見など)が有用であるという。

 第1部では、著者の考えるファミリーガバナンスについて詳述している。第2部では、具体的な紛争類型として、相続・贈与、婚姻・離婚、養子縁組、後見の4つを取り上げ、それぞれ事例を挙げて紛争の解決や予防策を解説している。第3部では、特定のファミリーメンバーで相続が発生して相続税の納付資金に窮する場合や一族の若年世代がスタートアップ企業を創業する際など、ファミリーメンバー間で金銭を融通する際の留意点を挙げている。第4部では、ファミリーガバナンスの条項例を提示している。

著者 大石篤史 森・濱田松本法律事務所パートナー 弁護士・税理士、当協会PB教育委員会委員
   間所光洋 森・濱田松本法律事務所パートナー 税理士
   中田光彦 森・濱田松本法律事務所シニア・アソシエイト 弁護士
   安部慶彦 森・濱田松本法律事務所シニア・アソシエイト 弁護士
   片山和紀 森・濱田松本法律事務所アソシエイト 弁護士

目次

第1部 ファミリーガバナンス
 第1章 ファミリーガバナンスの概要
 第2章 利害調整の仕組みとしてのファミリーガバナンス
第2部 一族内紛争
 第1章 創業者・資産家一族を取り巻く紛争
 第2章 相続・贈与
 第3章 婚姻・離婚
 第4章 養子
 第5章 後見
第3部 ファミリーガバナンスと各種規制
 第1章 ファミリーバンク(貸金業法)
 第2章 ファミリーガバナンスをめぐる金融規制の概要
第4部 ファミリーガバナンス契約の条項例

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