図書紹介

金融サービスの新潮流 ゴールベース資産管理

奥田健太郎 編(日本経済新聞出版)

 ゴールベースの資産管理については、2017年に金融庁から公表された「顧客本位の業務運営に関する原則」で、ゴール(目標)やゴールベースの考え方が打ち出されたことから、世間での関心が高まっている。

 この言葉は、米国で2000年代後半の世界金融危機後に金融機関がどのような価値を顧客に提供できるか模索する中で確立されてきた概念である。人は必ずしも合理的ではなく、金融や投資理論、市場の恩恵を十分には活かせていないため、一人ひとりの将来の目標に向けて、資産などを管理していく必要があるという。

 第1章「ゴールベース資産管理とは」では、ゴールベース資産管理の概要と、2014年頃から始まった日本での取り組み、普及状況を紹介している。

 第2章「発祥地米国から見たゴールベース資産管理の虚実と神髄」では、ゴールベース資産管理が生まれてきた経緯や金融業界の足元の取り組み、具体的なプロセス、遂行と推進に必要なインフラまで包括的に紹介している。また、一部の天才アドバイザーによる「顧客と同じ側に立つ」喜びや働き方が業界全体に広まったことが明らかにされている。

 第3章「日本におけるゴールベース資産管理の取り組み」では、こうした米国の潮流を受けて日本の金融機関がどのような取り組みをしてきたのかを、「社会や法制度」、「金融業界」、「個別金融機関」の3つの軸から捉えて、具体例を挙げて確認している。

 第4章「日本の顧客は何を望んでいるのか?」では、『NRI生活者1万人アンケート調査(金融編)』や特別に実施したグループインタビュー調査を基に、日本の顧客が金融サービスに求めているものを明らかにし、ゴールベース資産管理への潜在ニーズなどについて述べている。

 第5章「ゴールベース資産管理の課題と提言」は、筆者ら7人による座談会で、日本の金融機関がゴールベース資産管理に取り組む際の注意点や示唆を整理している。

 編者は、野村ホールディングス株式会社 取締役兼代表執行役社長 グループCEO、野村証券株式会社代表取締役社長

目次

第1章  ゴールベース資産管理とは
第2章  発祥地米国から見たゴールベース資産管理の虚実と神髄 
第3章  日本におけるゴールベース資産管理の取り組み
第4章  日本の顧客は何を望んでいるのか?
第5章  ゴールベース資産管理の課題と提言

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