図書紹介

令和５年度　よくわかる税制改正と実務の徹底対策

成田一正　編著／中島孝一・飯塚美幸・市川康明・西野道之助　共著（日本法令）

　著者によれば、令和5年度の税制改正は、成長と分配の好循環のための措置に力を入れており、特に個人の金融資産を「貯蓄から投資へ」と促すためのNISAの抜本的拡充・恒久化が目を引くという。また、スタートアップの支援強化や研究開発税制の見直しも企業の成長に寄与するとしている。このほか資産課税では、昨年も検討課題となっていた「資産移転の時期の選択に中立的な税制」の措置として、相続時精算課税制度の利便性向上と暦年課税における相続前贈与の加算期間の延長により、資産の早期の世代間移転を促進することが特徴としている。

　第１編では、こうした令和5年度の基本的な考え方を説明し、第２編では、各税制改正の具体的な内容をQ＆A形式で解説している。この中でPB業務に関連すると思われるのは、個人所得課税では、上記のNISA、スタートアップのほか、ストックオプション税制の利便性向上、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化、国外転出時課税に係る納税猶予の見直しなどが挙げられる。

　また、資産課税では、上記の相続時精算課税制度、暦年贈与のほか、医業継続に係る納税猶予制度の延長及び見直し、マンションの相続税評価などがある。このほか、法人課税、消費課税、国際課税、納税環境整備についても各種改正を丁寧に解説している。

　第３編では、年金課税、デリバティブ取引の金融所得課税の一体化、小規模企業等に係る税制などを今後の検討事項として挙げている。

編著者  成田一正　　税理士法人おおたか特別顧問
著者     中島孝一　　中島税理士事務所所長
           飯塚美幸　　松木飯塚税理士法人代表社員　当協会PB教育委員会委員
           市川康明　　税理士法人おおたか副代表
           西野道之助　西野会計事務所所長

目次

第1編　令和5年度税制改正のあらまし
　第1章　令和5年度税制改正の基本的考え方
　第2章　各主要課題の令和5年度税制改正での取組み　
第2編　令和5年度税制改正の具体的内容
　第1章　個人所得課税
　第2章　資産課税
　第3章　法人課税
　第4章　消費課税
　第5章　国際課税
　第6章　納税環境整備
第3編　検討事項