図書紹介

富裕層の法務　ファミリー・資産・事業・経営者報酬の知識と実務

岩崎隼人　著（日本法令）

　本書は、富裕層への法務サービスを専門とする弁護士が、富裕層にアドバイスする実務家向けに必要な法律知識や留意点を、家族関係、リタイアメント関係、資産保全・防衛関係、経営者報酬関係の4分野にまとめて解説している。

　富裕層は、その資産規模の大きさや経営者などの立場から、自身だけでなく、家族、会社や従業員、その他社会全体に対して大きな責任を負っている。自社株等の適切な管理はもとより、加齢による認知症への備えや、死後についても資産や事業が円滑に承継されるかを含め、視野を広く時間軸を長く捉えていかなくてはならない。

　第Ⅰ部の家族関係では、富裕層に求められるファミリーガバナンスの意義から説き起こし、トラブルを予防するため、わが国ではまだ少ないとみられる夫婦間契約まで踏み込んで解説している。

　第Ⅱ部のリタイアメント関係では、認知症リスクへの備えと遺言書作成の必要性に続いて、遺留分侵害額請求への対策を述べている。

　第Ⅲ部の資産保全・防衛関係では、富裕層への勧誘が多い投資（暗号資産、NFTアート、航空機、エンジェル、不動産）と被害発生に備える事前予防策や被害発生時の解決策を提示するほか、役員責任、名誉侵害、税務調査、資産管理会社などについて幅広く取り上げている。

　第Ⅳ部の経営者報酬関係では、経営者報酬の設計において考慮すべき点や受け取り方法（現金、株式、新株予約権）による違いなどを説明している。

著者は、岩崎総合法律事務所　代表弁護士　当協会認定シニア・プライべートバンカー

目次

第Ⅰ部　家族関係
　第１章　 ファミリーガバナンス
　第２章　 夫婦関係
　第３章　 夫婦間契約（婚前契約等）
第Ⅱ部　リタイアメント関係
　第４章　 判断能力低下時等への備え
　第５章　 資産承継・事業承継
第Ⅲ部　資産保全・防衛関係
　第６章　 ゲートキーパー・投資支援
　第７章　 投資被害回復
　第８章　 債権管理・債権回収
　第９章　 役員責任問題対策
　第１０章　名誉・風評・プライバシー対策
　第１１章　税務調査対応
　第１２章　資産管理会社の活用
第Ⅳ部　経営者報酬関係
　第１３章　経営者報酬
巻末付録　夫婦間契約条項例