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図書紹介

「AIが変えるお金の未来」

坂井隆之/宮川裕章/毎日新聞フィンテック取材班著
文藝春秋 2018.11.20 254ページ 800円

「AIが変えるお金の未来」 PDF (152KB)

フィンテックは、Finance(金融)とTechnology(技術)の融合であるが、本書ではより具体的に、①全てのモノがインターネットでつながる「IoT(モノのインターネット化)」、②それによって収集されたビッグデータ、③AI(人工知能)を始めとする高度な分析技術と金融が結びついて生まれた新たな技術革新としている。そして注目すべきは、フィンテックが単に新たな金融サービスを生み出すだけでなく、社会のあり方にも変化を及ぼそうとしている点である。

例えば現在でも、Amazonや楽天などで多くのモノがネットショッピングで購入でき、オークションに出品もできるが、こうした売買代金はネットバンキングで決済されている。また、それらを通じて個々人がどのようなモノやサービスを売買しているかのビッグデータが蓄積され、その個々人の嗜好に応じた広告も打たれるようになっている。

今後は、さらにこうしたデータを活用して中小企業や個人の信用判定に利用されるようになっていき、保険でも、個々人の健康状態や自動車運転の癖などからきめ細かな保険料が設定される方向に進んでいる。

また、世界に目を転じると、スウェーデンをはじめ多くの国でキャッシュレス化が進んでおり、中央銀行自身がデジタル通貨を発行する研究も行われている。

こうした変化は、技術進歩による利便性の向上ともいえるが、その一方で影とも言える問題も指摘している。

まず、こうしたフィンテックに追いつけずに取り残されるデジタルデバイドである。発展途上国よりは高齢化が進んだ日本では懸念されることである。一方、フィンテックに伴走していくとキャッシュレス化に伴いビッグデータに取り込まれることから、「通貨の匿名性」が失われている。そして、生体認証の普及などにより個人情報データの漏洩リスクが高まってくる。

仮想通貨はまだ決済手段としてほとんど普及していないため、データ消失の影響は一部の投機家に限定されるが、今後、フィンテックの進展により利便性が高まる一方で、利用者のリスク感覚を麻痺させていくことも予想される。

本書は、幅広い取材に基づき現時点で入手可能な情報と課題を整理している。ただ、読後には、フィンテックは日進月歩であり、その動向については、自らアンテナを高くする必要も強く感じさせる。

著者は、毎日新聞経済部副部長(坂井)、同記者(宮川)ほか。

目次

 第1章 AIに分析される私たち
 第2章 メガバンクを脅かすフィンテック
 第3章 ITが変える保険業界
 第4章 仮想通貨狂騒曲
 第5章 キャッシュレス覇権
 第6章 国家が発行するデジタル通貨
 第7章 フィンテックの「影」

 
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