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図書紹介

「脱老後難民 -「英国流」資産形成アイデアに学ぶ」

野尻哲史 著
日本経済新聞出版社 2017.9 293ページ 1,600円(税別)

「脱老後難民 -「英国流」資産形成アイデアに学ぶ」 PDF (146KB)

金融では、米国の制度やアイデアが注目されるが、NISAが英国ISAを参考したことは周知である。著者は、英国についてはISA以外あまり知られていないが、注目すべき点が多いという。例えば、企業年金改革について、英国では2018年までに、従業員がどんなに少ない企業でも企業年金を導入しなければならず、従業員は自動加入で給料の最低8%を拠出しなければならないと法律で決められている。これは高齢化対策の一環であり、2010年に「老後難民」の警鐘を鳴らした著者は、わが国でも検討の余地があると評価している。

本書で取り上げる話題は多岐にわたるが、プライベートバンカーとして、最も参考になるのは第7章「英国の金融の現場、販売からアドバイスに」であろう。英国ではRDR(消費者向け金融商品の販売に関する改革)が実施された2013年以降、投資信託の販売チャネルが従来の販売会社から数多くの投資信託や保険商品を扱えるオンライン販売チャネルへと大きくシフトしている。

また、これまで投資信託では顧客が投資した資金の中から、運用会社が販売手数料としてアドバイザーや販売会社にキックバックしていたが、投資家からはアドバイザーは自分の利益を優先しているとの不信感が高まっていた。このため、販売手数料を禁止して、アドバイザーは顧客から直接アドバイス・フィーをもらうようにした。これにより、アドバイザーは運用会社側ではなく、顧客側に立ってアドバイスできるようになった。しかしその一方で、小口の投資家ほど投資に対するコストが上がったため、相対的に富裕層が有利になり、アドバイス・ギャプが生じるようになったという。これを解消するために、アドバイス料の低下とアクセスの容易さを進める提言を2017年4月にまとめている。

英国においても、資産形成の施策について試行錯誤が続いているが、顧客本位の業務運営で動き始めたわが国において学ぶ点は多いとみられる。

著者は、フィデリティ退職・投資教育研究所所長

主要目次

 第1章 「貯蓄から投資へ」はなぜ成功しなかったのか
 第2章 全ての働く人が資産形成する時代に
 第3章 資産形成への新しいアプローチ
 第4章 セグメントに合ったメッセージを
 第5章 超高齢社会への対応
 第6章 金融リテラシー
 第7章 英国の金融の現場、販売からアドバイスに

 
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