要約

  • FDルール導入の全般的評価としては、株式市場の活性化に資するなど78%が前向きに評価した。 図表1
  • TF報告書で謳われるFDルール導入の3つの積極的意義の評価
    1.[投資家との対話が促進する]との評価は、発行者の情報開示後退から、対話がしにくくなるとの声が相応にあり、【評価】(56%)と【評価しない】(44%)が拮抗した。 図表2
    2.[アナリストによる、より客観的で正確な分析及び推奨が行われるための環境整備に資する]と64%が評価する一方で、情報開示の後退から分析の正確性の低下を懸念する声もあった。 図表3
    3.[中長期的な視点に立って投資を行うという投資家の意識改革を促す]と60%が回答する一方短期情報で鞘取りをする投資家の志向を決める要因に対してFDルールは影響を与えず、意識改革に繋がらないとの声もあった。 図表4
  • FDルールの「重要な情報」の範囲から除外すべき情報として、アナリストの業務に支障があるため、大多数の回答者が、①中期経営計画の詳細情報、業績予想変動をもたらす機会とリスク、業績予想の前提などの【将来情報】、②セグメント別、各業界特有のオペレーティング測定基準、決算の資産・負債科目の詳細内訳、経営陣の事業環境に対する認識などの【過去情報】を挙げ、これらはいずれも、『モザイク情報』に該当するとの回答となった。
  • 情報の公表方法として発行者のホームページへの掲載が認められた点は、開示のハードルが下がり、適時性及び弾力性が向上すると95%が評価する一方で、ホームページでは遡及的修正や抹消が可能となることや、競合企業への情報漏洩を恐れるため、ホームページでの公表開示が進まないなどを懸念する声もあった。 図表5
  • 建設的な対話を促進するための環境整備として、関係者に対し、次のコメントがあった。
    【企業】:①「ディスクロージャーポリシー」の制定と公表、 ②「ディファレンシャルディスクロージャー」(相手レベルに応じた開示)の運用、③積極的な情報開示への体制整備、④メディアに対する規律ある情報開示の体制整備
    【金融庁】:①周知徹底を目的とした説明会の開催、②実務対応を踏まえた極力明確なガイドラインの策定、③運用実情を踏まえたタイムリーな制度の改善と見直し
    【メディア】:既にFDルールが実施されている諸外国の報道の事例などを踏まえ、資本市場の健全な発展に資する報道
  • FDルール導入を踏まえたアナリスト業務における変化としては、アナリストとして技術・知識の向上が求められる、投機から投資への回帰などの前向きな声がある一方で、情報開示の姿勢が後退して、分析が表面的なものに終始する、過度に短期志向の投資家を排除する方向は市場の多様性の阻害要因となるとのコメントもあった。
  • FDルール導入を踏まえたアナリストのあるべき姿については、より中長期的視点が重要とのコメントが多かったが、他方、投資家ニーズに即して短期・中長期とも重要とのコメントも相当程度あった。
Get ADOBE READER

※PDFファイルをご利用いただくには、Adobe社 Acrobat Reader(無償)が必要です。最新のバージョンをお持ちでない方は左のバナーをクリックしてダウンロード後、インストールを行ってください。

CMA資格
プライベートバンカー資格
専門性を高める
金融・資本市場への情報発信
協会について

公益社団法人日本証券アナリスト協会は「ASIF(アジア証券・投資アナリスト連合会)」「ACIIA(国際公認投資アナリスト協会)」のメンバーです。
「CMA」「日本証券アナリスト協会認定アナリスト」「Certified Member Analyst of the Securities Analysts Association of Japan」は、公益社団法人日本証券アナリスト協会の登録商標です。

ページ先頭へ戻る

© 2015 The Securities Analysts Association of Japan.
当ウェブサイト内の文章・画像等の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。