「第5回プライベート・バンキング(PB)セミナー ―プライベートバンカーのための理論と実践―」が9月2日(金)に当協会6階第1セミナールームで開催されました。今回は従来のPB2日間セミナーを1日に凝縮し、不動産にテーマを絞って午前中2コマの講義、午後にケース・スタディという構成にしました。これまで同様、実務的な観点を重視した完成度の高いカリキュラムとなり、参加者によるアンケートでは「実務的で有意義」など、本セミナーを評価する声が多数寄せられています。
午前中は太田貴之氏、鷹野保雄氏による不動産に関連する2コマの実践的な講義と質疑応答により、参加者は理解を深めました。また、午後は北山雅一氏によるケース・スタディが行われ、参加者は不動産を保有する企業オーナーに対するプライベート・バンカーとしての対応をケースに沿って学びました。
セミナーの終了に当り、今回も参加者の方々にPBセミナー修了証を準備しています。このセミナー修了証がいずれ相応の価値を持つものになるよう、当協会としても知恵を絞っているところです。
当協会では、これまでの5回にわたるPBセミナーに加え、不動産、相続、信託、事業承継、ファミリー・オフィス、二世教育、任意後見制度、オーナー企業、生前贈与、生命保険などの分野で多数のPB補完セミナーを開催しています。
昨年5月に設置したPB教育研究会での議論を重ね、本年5月にはPB基礎知識体系(CKB;Common Knowledge Base)を作成・公表しました。当協会では、同研究会を中心に資格制度を含む新たなPB教育プログラムの構築に取組んでおり、創設50周年の来年10月頃に詳細を公表、翌平成25年度中に実施に移す腹積りです。
富裕層の不動産保有に対するアドバイスでは、まず顧客の保有目的に照らし合わせてリスク・リターンが最適なバランスとなっているかいう視点が大切だ。現状を分析してみることで強み弱みが明確となり、今後の投資方針を導きだすことができる。また、現在の不動産のマーケットは安定的なものではなく、個別不動産ごとの差異も大きい。不動産への投資効用と将来のリスク要素を理解し、データと事実に基づいた冷静な分析を顧客に提供しなければならない。外部専門家との連携においては、それぞれの外部専門家の特徴を理解したうえで得意な分野を引き出し、総合的なアドバイスを行うことで、顧客からの全面的な信頼を獲得するチャンスとなる。
富裕層を対象とするプライベートバンカーは、資産の保全、運用、承継に関する知識をベースに、総合資産コンサルタントとしての活動を行わなければならない。不動産について顧客にとっての最適な税務環境を考えることもその一つである。事業を考えてみれば、個人事業での開業は所得税が適用されるが、同じことを法人で事業展開すれば法人税が適用される。相続税はまったく別の課税体系である資産評価課税である。所得税か法人税かの選択を、将来を見据えた上で会計士・税理士など専門家の力を借りながら現在に適用していく訳である。駐車場、倉庫、店舗、アパート、マンションなどの用途を検討し、法人課税と個人課税及び収入課税と資産課税など、税法の違いを踏まえ、未来設計をしなければならない。ひとつひとつの選択が未来を大きく変えていく。
ケース・スタディでは、銀座に自社ビルを保有する老舗の和菓子店オーナーを例にとり、資産の運用と承継策を考察した。保有する優良賃貸マンション数棟の資産管理会社活用によるメリットとデメリット、駐車場についての所得・住民・相続税負担の軽減策、相続税納税資金準備のための生命保険加入の検討、自社ビル売却資金の適正な運用、投資政策書作成を踏まえたオーナー一族のファミリーミッションの在るべき内容等の設問に、参加者は頭を絞った。正答には唯一かつ絶対的なものはなく、参加者は全体最適な解決への道筋を目指し講師とともに多面的な角度から考えるとともに、他の参加者との貴重な交流の場を持つことができた。
