協会の認知度

新年明けましておめでとうございます。本協会にとって今年は創立五十周年という特別な年です。今後の益々の発展を祈りたいと思います。
ところで、私の勤務する日本証券業協会(以下、日証協)は、昭和四十八年に設立され、平成四年に証券取引法(現在の金融商品取引法)上の自主規制機関として改組され、現在に至っています。従って、本協会より若干歴史は浅いのですが、これまで様々な活動を通じて、証券市場の公正性の確保や投資家の保護などに相応の貢献をしてきていると自負しているところです。
しかし、世の中から日証協の活動がどれだけ評価されているかというとそれは別問題です。いささか旧聞に属することで恐縮ですが、一昨年秋に日証協で証券会社の利用者や一部未利用者に対してアンケート調査を行ったところ、日証協などの自主規制機関を「知っている」と答えた人は対面取引の投資家で19.1%、ネット取引の投資家で18.5%、投資に対する関心がない人に至っては1.3%という結果になりました。
日本では国民の中で証券投資はまだ馴染みが薄いことから、日証協の認知度はまあこんなものかと思う一方、投資家の認知度をみるとまだ道は遠いという感は否めません。日証協の会員(証券会社や銀行など)にとってもこの認知度の低さは看過できない問題です。日証協では市場の公正や投資家保護などの目的のために、①自主ルール(自主規制規則)を作り、②商品を取り扱う者には資格試験(外務員試験)を課し、③ルールの遵守状況をチェック(監査等)し、④違反者にはペナルティ(過怠金等)を課す一方で、投資家に対しては、⑤金融証券教育活動や法令のPR等を行い、⑥証券金融商品あっせん相談センター(FINMAC)を通じてトラブルの解決に努めている等の活動を行っています。こうした活動には相当のコスト(会費や人的貢献)がかかっている訳ですが、これが世の中に正当に評価されていないのでは会員である意味がないということになります。
勿論、日証協の認知度を上げること自体が目標ということではありませんが、日証協を通じて証券界が取り組んでいる様々な活動をもっと世の中に発信すべきではないかという問題意識の下、現在、いろいろな試みや検討を行っています。たとえば、
(1) 新しいロゴマークを作り、日証協のイベント等幅広く使用する。
(2) HPをよりわかり易く利用し易いものに全面改訂するとともに、インベスターアラート等投資家向けの情報発信の充実を図る。
(3) 金融証券教育においてITツールの活用等新たな取組みを検討する。
(4) 消費者の周辺で頻発している未公開株詐欺の未然防止のためのキャンペーンの実施等に積極的に取り組む。
(5) 日本の証券市場の長所や優位性を積極的にアピールする広報活動を展開する。
(6) 懇談会等の検討の場を可能であればマスコミに公開する等ルール作りのプロセスの透明化に努める。
このほかにも様々な取組みを行っていますがいずれもまだ試行錯誤の過程であり、十分な成果が上がっているとは言えません。ただ、消費者や一般投資家に向けての発信を常に念頭に置いて息の長い努力を重ねていく必要があると思っています。
翻って当アナリスト協会の理事としての立場からみれば、証券、金融業界におけるアナリストの評価をより高め、地位向上を図っていくためには、プロフェッショナルとしての質の維持向上のための諸活動が重要であることは当然ですが、国民や投資家に対しても専門性、クオリティの高さ、役割の重要性等について認識を深めてもらうことも大切だと考えます。当協会の様々な活動を通じて次の五十年ではアナリストに対する一般国民の認知度が一層高まることを期待するとともに、それが我が国の証券金融市場の次の半世紀の発展に不可欠なことであると固く信じています。
2012年1月
公益社団法人 日本証券アナリスト協会 理事
増井 喜一郎
(日本証券業協会副会長)


