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現在位置:ホームの中の協会概要の中の理事からのメッセージの中の2010年6月1日ドブ板を剥げ!
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理事からのメッセージ

ドブ板を剥げ!

 「ドブ板をはいで、ドブさらいをして来い」。アナリスト業務に就いて早々に言われたのがこの言葉です(ドブって何?と言われそうですが、下水のことです。ドブ板は下水を覆う板)。

 

 意味するところは以下のようなことです。ひとつは「安易な仕事はするな」。ドブの中を這いずり回り(情報の)ダイヤモンドを探す。公表された情報や通り一遍の取材で机に向かって数字を分析するだけではアナリスト失格。情報の糸口をつかんだら、現場に行ってその情報や数字の正確性を確認する。その上で、足でしか稼げない情報を得ることを心がけよ、ということです。ネットで情報はいくらでもとれます、とか、会社の担当者が言ってます、などという言葉はアナリストとしての自己否定につながりかねません。

 もうひとつは、現場に立って「感性を磨け」、ということです。アナリストにとって数字の徹底分析は基本ですが、数字は過去のものです。今後の市場の動向や会社の変化の感触は競合相手や取引先の取材、工場や店舗の様子など、周辺調査を重ねることでより鮮明になります。今何が起こっているのか、これから何が起きようとするのかを、五感を駆使して感じるようになれということです。決算数字は厳しい内容でも、ドブさらいをすることによって、好転の兆しや変化を感じとることができるのではないでしょうか。

 2010年3月期の決算発表を見ていると製造業を中心に想定を上回る利益水準になっています。アジアを中心とした新興国市場の需要の好調が牽引役となっているようです。これまでの固定費削減努力も数量増と相まって業績拡大に寄与しているのでしょう。休止していた設備の急速な立ち上げは稼働率効果となって大きく寄与していることも想定されます。ここまでは決算数字、会社取材等を通じてある程度は確認できるかと思います。

 しかし、その先を見通すには、さらなる調査が必要です。例えばアジアでの売り上げ拡大は市場の拡大の恩恵を受けているだけなのかそれとも拡大している市場でシェアも拡大しているのか。シェア拡大だとしたらその背景は何か、その持続性はあるのか、などなど。おそらく既製のデータでは確認できないことが多いと思います。会社取材ではかなり突っ込んだ質問が必要です。アジアの現地に行って市場の動向を見ることも必要でしょう。アジア企業、欧米企業のアジアでの収益動向を調査することも必要です。ジグソーパズルの一片一片を拾い集め、パーツがない場合は自分の感性と創意工夫で仮のパーツを創りあげる。グローバルな感性や構想力、地道な努力が求められる仕事です。しかし、これがアナリストの腕の見せ所であり、まさにドブさらいを必要とするところです。

 このメッセージは、アナリスト業務を始めて間もない人をイメージして書きました。独自の付加価値を追求し、情報の受け手を驚かせ、市場に何がしかのインパクトを与える。この醍醐味を楽しんで欲しいと思います。

2010年6月
社団法人 日本証券アナリスト協会
理事 風間 澄之
(株式会社大和総研 専務取締役)

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