『育もう‘新しい寄付文化を‘』

新年あけましておめでとうございます。年が改まると、なにかしら気分も引き締まり、常日ごろは心の奥底にひっそりとしまわれている願望がひょっこり顔をだすから不思議です。いわば「昼間の初夢」とでも申しましょうか。私は、今、この日本に新しいタイプの寄付文化が育ったらいいなという夢をみています。
鳩山新政権が誕生して2年目に入り、子育て支援をはじめいろいろな新機軸が打ち出されています。その新鮮さに目を見張る一方で、裏打ちとなる財源に不安を感じるのは私ひとりではないでしょう。やはり増税は避けられない課題だと内心思っている人々も多いと思います。増税となれば、格差是正を旗印とした所得税制の見直しが俎上にのぼる日も遠くないかもしれません。
累進性強化を伴う所得増税となると、それがあまりに行き過ぎれば、利害が絡む個々人にはいろいろ割り切れない感情が残り、社会各層間の対立にもつながりかねませんし、ひいてはそれが社会全体の活力をそぐことにもなりかねません。国家権力により有無を言わせず徴収される税金のほかに、自らの意志でみずからの望む分野に資金を提供し、できればそこに自らもなんらかの形で参画できるような仕組みが併行してできていけば、社会全体のきしみの緩和にいくらかでも役立つのではないでしょうか。
米国には寄付をするお金持ちがいっぱいいるという話を聞きます。かっては、あの自由と自己責任の国である米国でなぜ?って不思議に思ったものです。でも最近はそういう国だからこそなのだと思えるようになりました。日本でも、近頃は企業レベルでは、社会貢献活動がどんどん活発化しています。私の所属する会社でもがん予防活動には相当の資金とマンパワーをさいています。これからは、個人のレベルでも、もっと寄付のカルチャーが育まれそれがなにかしら社会の潤滑油に育っていくことを願います。
寄付といっても単にお金の出しっぱなしということではなく、自らが主体的に参画することとセットになったような制度や仕組みがもっと拡充していくことが望ましく思います。なにもいますぐ参画する必要はありません。将来、今の職業生活を終えた時に参画できるような仕組みがあり、そのときを夢みて寄付をしながら今を生きる、そんな生活を送るというのも悪くないような気がします。
新政権がそういう青写真を描く音頭をとり、それを具体化する施策を講じてくれることを私は心秘かに念じております。当協会もそれに一役かう余地は十二分にあることでしょう。証券アナリストとして、金融、経済の多方面で活躍されている会員の皆様が、現在、もしくは将来、自らの豊富な知見を生かし社会に貢献しうるような組織と仕組みが存在し、それに対して今から寄付を行うようなカルチャーが出来あがったらすばらしいではありませんか。
2010年1月
社団法人 日本証券アナリスト協会
理事 小林 英三
(アフラック 副会長、検定会員、CIIA)


