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現在位置:ホームの中の協会概要の中の理事からのメッセージの中の2009年12月1日『CSRとSRI』
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理事からのメッセージ

『CSRとSRI』

 企業における社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)ということが言われて久しい。企業が利益を追求するだけではなく、その活動が社会に与える影響に責任を持ち、あらゆるステークホルダー(顧客、従業員、投資家、社会全般)に対し適切な意思決定をおこなうという考え方は、着実に浸透しつつある。

 さすがに最近ではCSRを、寄付、フィランソロピー、メセナといったような企業イメージ向上の諸施策のように考える向きは少なくなってきてはいるが、まだまだCSRをコンプライアンス的なものを中心に(いわゆる不祥事をおこしてはいけない)、責任感、義務感倫理感の次元でとらえている企業も多いようだ。

 このような考え方に立つと、「我々は大企業、優良企業であるからしてCSRに熱心に取り組まなければならない」とか「利益拡大が企業の主目標でCSRは従、CSRはコスト」ということになってしまいがちである。さらにこの考えをつきすすめていけば、経済状況が悪化し利益が出なくなればCSRは消えてなくなるということになる。

 しかし、実際はそう悲観する程でもなさそうだ。むしろ多くの企業は、CSRこそが健全なバランスシートとともに長期的ビジネスの成功の鍵と考えているというアンケート結果もある。それによれば、CSRは直接的には株式価値を上げ、市場シェアを上げ、間接的にはビジネスチャンスを拡げ、企業革新、創造力発揮につながり、さらに諸リスクを減らすとある。また、従業員のモチベーションを高め、リクルートに役立つとも。

 つまり、多くの企業が成長しているからCSRがあるのではなくCSRが企業の成長の原動力であると捉らえ始めてきているということである。CSRは極めて実利的なものなのである。またそうでなければなかなか社会に根付かない。

 さらに、金融機関(運用機関)のCSRについては、預かっているお金が預金や年金といった社会のお金であることを良く認識して、融資や投資という本業を通して個別企業のそしてひいては経済社会全体のCSRを推進する役目がある。その典型的なものがSRI(社会的責任投資)である。

 SRIはまさしく、企業の社会的責任の状況を考慮して行う投資であるが、その本質は健全なお金の流れをつくることにより持続可能な社会を構築することである。企業の評価基準については種々あるが、2006年4月に国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP・FI)から責任投資原則(PRI)が公表されてから、「ESG」-環境(E:Environment)・社会(S:Social)・企業統治(G: Governance)で企業を評価する運用手法が大きくクローズアップされてきている。

 SRI は欧州を中心に拡大していき、10年くらい前から日本でもファンドが組成されている。本年3月末の残高は4千億円弱と世界的にみれば非常に少ないが、最近では中国市場向けにも拡がりを見せているとのことで今後の発展に大きな期待を寄せている。

2009年12月
社団法人 日本証券アナリスト協会
理事 幡部 高昭
(住友信託銀行(株)代表取締役副会長)

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