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現在位置:ホームの中の協会概要の中の理事からのメッセージの中の2009年4月1日市場原理主義 対 規制強化論議を考える
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理事からのメッセージ

市場原理主義 対 規制強化論議を考える

 サブプライム危機で世界のマーケットが激震に見舞われている。この原因は、市場原理主義が行き過ぎて金融機関の行動が野放図となり、その結果、金融機関がなりふり構わず貪欲に利益を追求したことにあり、その咎めが劇的な形で顕れたとの見方が少なくない。そして、こうした金融機関の行動に対する規制をこの際強化すべきである、として各国ではさまざまな検討がなされている。またこうした議論が発展して、いまや市場原理主義自体のパラダイムの変更が迫られている見方も台頭している。ここでは、こうした論議を背景にして市場が持つ本質的機能についてレビューしてみよう。

 マーケットの持つ最も重要な機能は価格発見機能である。さまざまな情報を持った多くの市場参加者が自己の投資判断に基づいてマーケットに投票する。そして、投資家の投票結果はマーケットから相場という形でアウトプットされることとなる。
 こうした市場機能が整斉と発揮されるためには、まずもってセルサイドが投資家に対して商品の持つリスク・リターン特性を正確かつ分かりやすくディスクローズする必要がある。マーケットは生き物であり、時としてダイナミックに変化する。したがって、そこで取引される商品のリスク・リターン特性もダイナミックに変化することとなる。そうした先行き予想されるいくつかのシナリオに基づいて商品のリスク・リターン特性がいかなる変化を示すかといった点も説明することが投資家の適正な投資判断に資することになる。

 一方、投資家サイドにおける最も重要なポイントは、投資判断を下す前に対象商品のリスク・リターン特性を明確に把握することである。そして、その理解が完全には至らず1点の曇りでもあればそれは自分にとって投資不適格商品であると判断すべきである。投資の世界においては、投資家の自己責任が基本である。しかし、それには充実したディスクロージャーが提供する的確な情報をベースにして売り買いの判断を下すことが大前提となる。そして、市場というフィールドで、さまざまな動機を持つ投資主体が自由闊達に取引をするなかから、マーケットの価格発見機能が遺憾なく発揮されることになる。このようにディスクロージャーの拡充と投資家の適正なリスクの判断は表裏の関係にある。

 もちろん、金融革新が一段の進展をみる中で市場参加者の態様がダイナミックに変化する状況下、果たして規制の対象範囲は現状で適当か、金融技術を組み込んだ複雑なスペックを持つ商品のディスクロージャーの在り方はどうすべきか、市場参加者の中に行儀の悪いものがいればそれにいかに対処すべきか等、今回の金融危機を契機に検討すべき項目は多々ある。しかし、こうした論議の中心軸はあくまでも市場機能を整斉と発揮させることを指向するところにあり市場機能を殺ぐものであってはならない。市場原理主義 対 規制論議ではなく、市場機能を整然と発揮するための規制論議を期待したい。

2009年4月
社団法人 日本証券アナリスト協会
理事 可児 滋
(横浜商科大学教授、検定会員/CIIA)

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