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理事からのメッセージ

2009年3月3日

 昨年来、「100年に一度」あるいは「全治3年」といったトーンで現在進行している国際規模の金融危機が語られていますが、これに異論をはさむ人がほとんど見当たらない、まさに万人が認める深刻な状況です。

 実は、「100年に一度」という表現については多少疑問に思っています。世界大恐慌からは未だ(?)80年で、わが国のバブル崩壊も20年前の出来事ですし、そもそも「100年に一度」では、今後も100年に一度程度しか発生しないということになってしまい、目まぐるしく変化し続けている現代では、若干無理があるような気がします。
 ただし、「全治3年」については、少なくとも株式市場に対する見方としてほぼ正しいと思っています。過去に世界で発生した大規模なバブル崩壊の際の株価を検証してみると、いずれも底打ちまでに30ヶ月強を要しています。
 「情報化時代だし、今回は世界が一体となって対応しているから、そんなに時間がかからないのでは。」という声も聞こえてきますが、深刻さを増す米国住宅不況、実体経済の落ち込み、インド・中国といった巨大新興国やロシア・東欧も巻き込まれ、さらにそれらの国々の状況がより深刻であるといった点等を考慮すると、やはりこれまでのバブル崩壊と同様の年月が必要だと思います。

 崩壊の起点を一昨年7月とすると、年内の回復は難しいということになりますが、今この文章を読んでいただいている証券アナリストの資格を持つ方々には、底打ちまでの日数の長さを嘆くのではなく、過去の崩壊時において株価の底打ちまでに30ヶ月強を要した後、程度の差こそあれ、比較的長期間にわたって上昇が続いた点に是非注目していただきたいと思います。底打ち時期は未だ先でしょうが、株価水準はかなり魅力的なものもありますし、もしかしたら、既に上昇を開始している銘柄があるかもしれません。
 何年間も右肩上がりが続いている状況下では、どの銘柄を選択してもある程度のパフォーマンスが得られますので運用の巧拙の差が出にくいでしょうが、現在のような厳しい状況からの回復・上昇過程では、個々の企業間の業績格差がさらに拡大し、株価にも大きな差が出ると思います。私は、セルサイド、バイサイドを問わず、これからがまさに証券アナリストの資格を持つ皆さんの腕の見せ所ではないかと感じています。

 なお、肝心な判断材料である業績開示等に不備や不正があっては話になりません。
 日本証券業協会では、当局、証券取引所及び証券会社と連携し、上場企業の適正開示の徹底を図っており、特に、本来成長ポテンシャルの高い企業が多く期待値が高いはずの新興市場については、本協会の中に委員会を設置し、開示以外の様々な問題点についても改善に取組んでいることを申し添えさせていただきます。
 皆様のこれからのご活躍を心より期待しております。

2009年3月
社団法人 日本証券アナリスト協会
理事 安東 俊夫
(日本証券業協会会長)

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