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理事からのメッセージ

2009年1月5日「金融危機克服の担い手として」

 2009年は、金融危機克服へ本番の年となりそうです。2008年後半は、金融危機による世界需要崩落のあまりの凄まじさに、政策対応が追いつかないといった状況でした。欧米は、次々と大胆な政策を発動しましたが、市場の反応を見る限り、今のところ成果は十分とはいえません。

 資産価格下落による金融危機は、すでに日本が経験しました。資産価格下落による金融・経済危機は、資産価格が止まるまでなかなか終わらない、というのが日本での結論です。さらに、日本の経験と今回の金融危機とでは、4つ違いがあるように思います。
 一つは、金融システムの違いです。日本は間接金融中心でした。今回は、間接金融に加え直接金融の危機です。二つ目は、日本が貯蓄超過であったことです。財政出動による大量の国債発行も、大半は国内で調達しました。米国の大幅な財政出動は副作用を伴います。三つ目は、日本が不良債権処理で苦しんだ1990年代は、世界中が好景気であった点です。世界の株式市場は2000年のITブームのピークまで、壮大な活況相場でした。四つ目は、金融危機連鎖のグローバル化の違いです。日本が、不良債権処理に十数年かけられたのも、この4つの違いがあったからではないかと思っています。

 今回はこの4つの違いから、日本ほど危機克服に時間をかけるわけにもいきません。欧米の果敢な政策対応にもかかわらず、市場の反応が今のところ鈍い理由は、一つ目の違いが大きいと思います。日本が経験した間接金融での処方箋に留まっているからです。間接金融の危機は、すべての銀行を政府が守るといえば、落ち着きを取り戻すはずです。しかし、直接金融の危機では、間接金融のようにすべての市場参加者を守るというわけにはいきません。現在、企業間信用がまったく機能していないようにみえるのもそのためだと思います。

 直接金融危機での処方箋は、第1に価格調整を速く行うことです。サブプライム層の住宅価格や証券化商品の多くはすでに大幅調整を終えつつあるのではないかと思います。第2は、適正価格(と思われる水準)で資産価格の下落を止めることです。今年米国は、サブプライム層の住宅や証券化商品を直接買い取る仕組みができるでしょう。その際の適正価格を見出すのが、証券アナリストの本来業務です。アナリストこそが、今回の金融危機克服の担い手であるものと、活躍を期待しています。

2009年1月
社団法人 日本証券アナリスト協会
理事 東 英治
(大和総研専務取締役、検定会員)

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