2008年4月1日

21世紀を迎えると同時に、米国の証券業界に激震が走りました。それは、2001年12月、全米第7位の大企業であるエンロンが倒産、そして2002年7月にはAT&Tに次ぐ長距離通信大手のワールドコムも倒産に追い込まれたことです。大企業の連続倒産の主たる要因が、前者は巨額の簿外取引による特別損失の計上と株価の急落、後者はIT・ネットバブルが成熟化する中での巨額の粉飾決算によるものであったことが事態を深刻化させました。
これらによって、米国のみならず、世界の証券市場に対して、コーポレート・ガバナンスのあり方、株価重視経営の行き過ぎによる弊害、ITバブルへの警告、経営者および会計監査人のあり方、そして証券アナリストの倫理観と中立性など、多面的な課題を提起しました。
こうしたことはまだ記憶に新しいのではないかと思います。証券アナリストの倫理観や中立性が社会的、政治的な問題にまで発展したこと、更にはヘッジファンドの台頭によるサービス形態の変化、機関投資家の自らの調査体制の強化などにより、証券アナリスト業務の枠組み、求められる役割、そして職業としての魅力度にも、大きな変化をもたらしたと言えるかもしれません。
日本証券アナリスト協会は検定会員を中心に、会員総数は22,000名を超え、所属業態もセルサイド、バイサイドから一般事業会社へと広がりを見せています。一方では、1981年から始まった検定会員制度も27年目を迎えたこともあり、証券アナリストも本格的な世代交代期に入ってきたように思われます。
サブプライムローン問題で揺れ動く世界の株式市場ではありますが、このタイミングにおいて、21世紀に入ってからの多面的な課題に再度対峙しながら、国際的な視野のもとで、レベルアップを図り、アナリストという職業に新しい夢を与え、そのもとで将来のキャリアパスに多様性が生まれることを期待したい。このためには、単に検定会員の皆様の努力に依存するのではなく、日本証券アナリスト協会としても、インフラやアイデアなどを提供することで、両者の相乗効果が生まれるような仕組みや場を提供できればと思います。
2008年4月
社団法人 日本証券アナリスト協会
副会長 山本高稔
(UBS証券会社副会長、検定会員)


