2008年3月3日

サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅ローン)問題が世界を揺るがしている。その嵐の中で、最も大きな影響を受けた市場の1つが日本の株式市場である。景気変動によって一番大きな株価変動を示すのがいわゆるボロ株の特徴だが、このことから類推するに、日本市場が世界のボロ株と化したのだろうか。
日本の株式市場を眺めると、上場企業の質はさておくとして、投資家の質が低いとの印象は否めない。
今年1月、便宜上、海外に拠点を置くヘッジファンドが含まれているとはいえ、株式売買金額に占める海外投資家の割合が7割を超えたのは異常である。多様な投資家が育っていない証拠でもあろう。
日本の投資家はマクロ経済の動きをじっくりと観察していない。短期的な企業業績の変化と、それに伴う株価変動を追いかけるだけである。ハーディング、すなわち群がる傾向でもある。反対に、企業業績のトレンド分析を怠っている。新興市場の人気沸騰とその後の凋落も、その要因を投資家の短期志向とハーディングに求めることが可能だ。
念のために言えば、投資家の質の低さは、新興市場の主役である一部の個人投資家だけではなく、多くの機関投資家の問題でもある。年金が月次の投資パフォーマンスに一喜一憂することに、どの程度の意味があるのだろうか。もっと信念を持った投資が求められる。
日本証券アナリスト協会の役割は、幅広い視点から証券市場を分析できる人材を輩出し、それによって証券市場の深化を図ることにある。そのなかで、協会の検定会員資格は入口として位置づけられるにすぎない。
検定会員に対して期待される能力を正しく認識し、その能力の研鑽の環境を整えることも、協会の大きな使命である。現在、検定会員に提供する各種の情報とCIIA(国際公認投資アナリスト)試験制度が研鑽のためのツールとして整備されている。
もちろん、協会がいくら努力しても、検定会員にそれを受け入れてもらわなければ意味がない。会員の皆さんから協会に対して積極的に意見をぶつけてほしい。それらの意見を参考に、協会としての役割を果たしていきたいと思う。
2008年3月
社団法人 日本証券アナリスト協会
副会長 川北 英隆
(京都大学教授、検定会員)


