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理事からのメッセージ

2008年2月1日

 日本版金融ビッグバン以来の金融市場改革となる「金融・資本市場競争力強化プラン」が昨年末に公表されました。この背景にはわが国の金融・資本市場の低迷があると思われます。客観的な指標になりうるかどうか分かりませんが、ロンドンシティーが評価する世界金融市場競争力「グローバル金融センターインデックス」によれば東京は世界第10位に位置付けられ、ロンドン、ニューヨークに及ばないどころか、アジアでも香港、シンガポールの後じんを拝する状況です。

 しかし一方で、わが国の家計は戦後営々として築き上げた1,500兆円を超える金融資産を保有していることも厳然たる事実です。この規模はアメリカに次いで世界第2位であり、わが国GDPの概ね3倍のスケールとされています。いまや金融資産の成長の方がGDPの成長よりも経済的なインパクトは大きく、その意味で金融資産の有効活用は人口減少と少子高齢化が本格化する21世紀にあって喫緊の課題といえるでしょう。GDPと金融資産の関係はわが国のみならず先進諸国でも同様で、先進諸国の金融資産の規模はGDPよりも圧倒的に大きくなっています。マネーはより良いリターンを求めて世界中を動き回ります。わが国の金融・資本市場の競争力が高ければ世界のマネーはわが国に流入し、結果としてわが国の金融サービス業も高付加価値産業として認知される可能性が高まると思われます。

 金融は経済の血流を担うだけに金融・資本市場の競争力強化には金融に精通した人材の育成やインフラ整備など広範な課題に対処する必要がありますが、証券アナリスト諸兄の一層の活躍も期待されているところです。ノーベル経済学賞を受賞したコロンビア大学のスティグリッツ教授は資本市場について「投資家が報われない限り誰も資本市場に資金を投じようとはしない」と喝破しました。けだし名言です。金融・資本市場競争力強化に向けて「すべてはリスクマネーを提供する投資家のために」独自性を持った価値ある情報と知恵が証券アナリスト諸兄から提供されることを願っています。

2008年2月
社団法人 日本証券アナリスト協会
副会長 大場 昭義
(みずほ年金研究所取締役社長、検定会員)

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