2008年1月4日

昨年11月にインドのニューデリーで、アジアの証券アナリスト(ASAF)大会がありました。その時の雰囲気を振り返ってみます。
インドとの時差は東京より3時間半遅く、そのころの商業都市ムンバイ(昔のボンベイ)は意外に涼しかったです。ムンバイからデリーまでは飛行機で2時間、 デリーはもっと涼しく、昼は28度くらい、夜は10度近くまで下がります。首都のデリーの人口は統計では 1,000万人、商業都市のムンバイは1,200万人くらいですが、本当はもっと多いようです。インドレストランで食事をしたところ1,500ルピー、日本円だと4,000円で、普通のインド人の10日分くらいの給料に相当します。新しいビルがどんどん建っていました。2年前とは様変わりで、あまりの急成長でビルの供給が追い付かないとのことです。
あるインド人は、自分たちの気質をハートは日本人的、頭は欧米人的であると言っていました。収益性の追求に関しては貪欲である一方、人間関係による信頼を大事にします。
インドの自動車産業を見ると、ここ5年で80万台から200万台市場に大発展、次の5年で500万台規模に拡大すると予想されます。現在はスズキが乗用車市場の5割を握り、タタ、現代がそれに続きます。訪問した業界2位のタタ自動車のプネ工場は活況でしたが、まだこれからという感じです。タタは韓国の大宇を買収しています。タタグループのトップ、ラタン・タタ(3代目)は、グループのCEOと同時に、七つの事業グループのうち、タタ自動車のみCEOを兼務しています。その理由は自動車が好きで、10万ルピーカー(28万円の自動車、3000ドルカーとして新興国では他社も計画)の発売に意欲的です。
インド企業の海外展開はミッタルやインフォシスに限らず、M&Aのほとんどはクロスボーダーで、イン-アウトが主力のようです。成長を求めて、インド企業のグローバル化が本格化しています。多様な人種のなかで経営してきたインドの企業家にとって、グローバル化に違和感はないようです。
センセックス株価指数は、2年前の10,000以下のレベルから、昨年は20,000に達しました。時価総額は1.4兆ドル(5年前は0.4兆ドル)で、GDPの120%。GDP8~9%成長、ROE20%以上、利益15~20%の伸びというファンダメンタルズを反映すると、次の5年で時価総額が3兆ドルに拡大するという見方にさほど違和感はありませんでした。
今回一番驚いたのは、大会を協賛していたイクファイ大学です。イクファイ(ICFAI= The Institute of Chartered Financial Analysts of India )とは、インドアナリスト協会の略です。インドのアナリスト協会が何と20年前に大学をつくり、いまや学生が7万人、その中のビジネススクールは優秀とのことです。アナリスト大会には、MBAの学生も多数参加しており、休憩時間には私にまで熱心に質問がきました。その勢いと熱気に圧倒されましたが、日本の金融投資の実践と教育に貢献すべく、気持ちを新たにした次第です。
2008年1月
社団法人 日本証券アナリスト協会
会長 鈴木行生
(野村證券顧問、検定会員)


