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PBセミナー開催10周年記念座談会
【PBセミナー開催10周年記念 座談会】

と き  2016年12月13日(火)
ところ  株式会社キャピタル・アセット・プランニング会議室

【出席者】
  • 米田 隆 氏
    (株)グローバル・リンク・アソシエイツ 代表取締役
    PB教育委員会委員長・PB資格試験委員会委員
  • 北山 雅一 氏 CMA
    (株)キャピタル・アセット・プランニング代表取締役
    税理士 公認会計士
    PB教育委員会・PB資格試験委員会委員
  • 前原 康宏 CMA
    日本証券アナリスト協会 専務理事
【司 会】
  • 大澤 静香 CMA
    日本証券アナリスト協会 教育事業推進部部長

※ 肩書・内容などの情報は収録当時のものです。

PBセミナーから始まったPB教育プログラム

大澤 2007年12月の第1回以降、プライベートバンキング(以下、PB)セミナーは毎年1回のペースで開催し、今回の16年で10周年を迎えた。本日はこの10年間を振り返りながら、協会が担うべきこれからのPB教育について、座談会を行う。まずはPBセミナー開催となったきっかけから、米田先生に伺いたい。

米田 07年3月に協会が米国CFAと共同で開催するセミナーで、「個人の資産運用、特にPBをテーマに採り上げることになり、北米やスイスから実務家を呼んでパネルディスカッションを行うので、手伝ってほしい」と協会から声をかけていただいたことがきっかけだ。

大澤 実はその10年前の日米共同セミナーに、私は受講者として参加していた。当時は証券会社のプライベートバンキング部所属だった。

北山 私はCMAの資格を持つ会計士として、またアセットアロケーションのシステムを取り扱ってもいたので、日米アナリスト協会の共同セミナーにはそれまでも数多く参加していた。当時共同セミナーの受講対象者は機関投資家であり、かなり有意義な内容が多かったからだ。
 しかし初めてPBをテーマに採り上げた日米共同セミナーを受講した時は、率直に言って講師が違う、と不完全燃焼感が否めなかった。というのも、米国のプライベートバンカーやウェルスマネジャーなら投資一任業者で個人の税務も含めて全資産管理を担当するので、当然そうした内容を期待したが、実際にはクレジットカードの使い方など日本のFP(フィナンシャルプランナー)に近いものだった。米国の講師は会計士やCFAといったプロフェッショナルでもなかった。「協会はかなり日本のFPに近い講師を選ばれてしまったのではないか」と、当時の専務理事に感想を話すと、「北山さん、それなら講師をお願いできるか」と誘われたのが、その後協会のPBセミナーに関わるきっかけとなった。

大澤 苦言を呈したことで、もっと良いものにするために力を貸してほしいと、逆に協会からお願いしたということで。

北山 もし、日本でPB/WMのセミナーをするならば、企業経営者の組織再編や税務も含めた内容であるべきだ、と当時の専務理事に申し上げた。

大澤 北山先生からの貴重なご指摘が、その後のPB教育プログラムの中核となる、企業オーナー向けコンサルティングという柱に続いている。
 さて日米共同セミナーの2カ月後の5月に協会が出したプレスリリースを皮切りに、その後のPB教育プログラムへの取組み開始に至るが、その時の経緯を前原専務理事にお話しいただく。

前原 一つは日本における個人金融資産をめぐる環境が大きく変化し、個人投資家はより幅広い総合的な金融サービスを求めるようになっていた。これを受け、多くの金融機関がPB/WM部門を設け取組みを積極化しつつあった。こうした、金融機関と個人投資家双方からのニーズの高まりがあった。ただ実際には金融機関での対応やサービス内容はまちまちであり、PB/WMに携わる人たちのあるべき適性や能力、教育の内容について、各金融機関とも模索状態であったことが大きな背景であった。
 そうした状況を眺め、証券分析について教育・資格付与を主たる事業としている当協会としては、当該分野で進んでいる欧米ではファイナンスの手法を取り入れた取組みが行われていたことを眺め、わが国においてもファイナンスを本格的に取り入れたPB教育資格を採用する判断をした。
 加えてCMAにとっても、PB/WM分野の知識やスキルは重要であり、この分野の知識の取得で活躍の場が広がっていくという狙いもあった。

大澤 いよいよ07年12月に第1回PBセミナー実施となるが、その際のセミナーの構成はどのように決めていったのか?

米田 日本のPBのあり方を北山先生と議論しながら、カバーすべきトピックを決めていった。第1回は総論的な内容だった。ケーススタディーでは、北山先生のチーム力を貸していただき、総論とケーススタディーの2部構成でスタートした。

北山 雅一 氏 CMA

北山 ケーススタディーは、実は当社の顧客をモデルに、このファミリーとあのファミリーの話を合体する、などで作った完全なフィクションだ。ケースとなる対象は企業経営者のファミリーであり、スリーサークルモデル、つまり、所有権と経営と一族の3点をどのように表現するかというのが、いつもケース作成のポイントとなっていた。

米田 第1回からの共通テーマとしては、PBの中核顧客は、同族系企業、つまりオーナー系経営者であることを改めて強調した。のちに私がファミリービジネスという言葉を使い始めるが、そこには日本固有の税制の問題がある。
 協会が当初スイスのPBの研修テキストの利用を検討していると聞き、その翻訳を共有させていただいたが、内容があまりに資産運用だけに偏っていた。日本の富裕層が次世代へ資産保全を行う際に最大の障害である、あるいは毀損要因である税制の問題について、スイスのものをそのまま適用することは全く有効ではない。また日本では総資産に占める土地の比率がかなり高いという問題もあった。

前原 もともとはスイスとドイツの団体から、彼らの富裕層ビジネス資格を一緒に普及させようという勧誘が07年に来たが、当時の専務理事が制度の問題、法律、税務の問題が欧州のものとは違っているので、導入は無理だとして断った。

米田 その結果、PBの体系としてのナレッジであるCKB(Common Knowledge Base)を独自に作る枠組みを考えざるを得なくなった。それが最終的には資格制度として進化した感じだ。

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