プライベートバンカー資格
公共社団法人 日本証券アナリスト協会-The Securities Analysts Association of Japan
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職業倫理・行為基準

証券アナリストであれ、プライベートバンカーであれ、法令や自主規制による縛りよりも高度な信任義務(Fiduciary Duty)というものを倫理基準の大原則とすることに変わりはありません。
信任義務をベースとする当協会の証券アナリスト職業行為基準は、そのままPBに援用することが可能なのです。
プライベートバンキング(PB)職業行為基準の根幹を為す信任義務という概念は、英米における信託の歴史の中で受託者が受益者に負う義務として生まれてきたものです。
信任義務を噛み砕いて言えば、「顧客に忠実であれ(忠実義務)」ということと、「顧客への注意・配慮を怠るな(注意義務)」という2つのことに尽きるのです。
現場で活躍するプライベートバンカーは、紹介を受けた初対面の顧客からしばしば以下2つの問い掛けを受ける経験をします。
1つは「あなたは嘘をつかないプライベートバンカーか?」、そしてもう1つは「あなたは優秀なプライベートバンカーか?」という質問です。
この2つの短い問い掛けは、実は見事に信任義務の本質をついています。
なぜなら、前者の問い掛けは顧客に対する忠実義務をきちんと負ってくれるのだろうね、ということの確認であり、また後者の問い掛けは顧客への注意義務は十分に担保されているのだろうね、ということを別の表現で問うているからです。
忠実義務と注意義務という2つの義務を具体的に誰に対して負うのか、またどうすれば義務を果たしたことになるのか、さらにどの程度の強さで負うのかについては、業種・業態によってさまざまです。以下では、当協会がプライベートバンカーのために制定した職業行為基準を逐条解説していきます。

(1)定義

①プライベートバンカーならびにプライベートバンキング(以下PB)業務についての一般的な定義

一般に、プライベートバンカーとは、個人富裕層顧客(含むマス富裕層顧客、以下同)のために金融資産のみならず資産承継も含めた人生設計全般に関わる投資政策書を立案・作成し、その実行を長年にわたってコンサルティングあるいはモニタリングしていくことを業とする専門家のことを指します。PB業務とはプライベートバンカーが携わるこのような業務のことです。
PB業務を通じて、マス富裕層を含む富裕層資産を活性化させ、経済の活性化と次世代への承継に資することを究極の目標としているのです。

② 本章におけるプライベートバンカーの定義

本章のPB職業行為基準でいうところのプライベートバンカーとは、公益社団法人日本証券アナリスト協会が実施するPB教育資格試験に合格し、かつ本協会が課す資格付与要件を満たすことによって、PB資格が付与された者のことと定義します。

(2)PB職業行為基準

個人富裕層顧客(含むマス富裕層顧客)から1対1の全面的な信任を得て業務遂行することが優秀なプライベートバンカーの社会的役割なので、高い倫理観を持ち、関係法令はもとより、各種のルール・規制を遵守しなければなりません。
信任義務(Fiduciary Duty)をベースとする個人富裕層顧客への最善のアドバイス提供がまず根幹にあります。これに、利益相反の排除、専門家としての能力の維持・向上、顧客の秘密保持、投資の適合性等を含めた7つがPB職業行為基準の内容です。以下、これら7つの基準とその趣旨について述べることとします。

基準1 顧客への最善のアドバイス提供

① 信任関係

イ.基準

  • 基準1−1 「信任関係」とは、顧客とプライベートバンカー、信託の受益者と受託者等、一方が相手方の信頼を受けて、専門的業務または相手方の授権に基づく業務を行う関係をいう。
  • 基準1−2 「信任義務」とは、信任関係に基づき信頼を受けた者が、相手方に対して真に忠実に、かつ職業的専門家としての十分な注意をもって行動する義務をいう。
  • 基準1−3 プライベートバンカーがPB業務を行うに当たっては、顧客その他信任関係の相手方の最善の利益に資することのみに専念しなければならず、自己および第三者の利益を優先させてはならない。
  • 基準1−4 プライベートバンカーがPB業務を行う場合には、その時々の具体的な状況の下で法令、規則、業界慣行を遵守した上で専門家として尽くすべき正当な注意、技能、配慮および誠実さをもってその業務を遂行しなければならない。

ロ.趣旨

歴史的に見ると、信任関係という概念は、英米における信託関係に発し、また信任義務は信託において受託者になった者の義務として生成されてきた概念なのですが、その後これらの概念は信託に限らず、基準1−1に列挙された関係のほか、会社とその役員、証券の発行者と引受人、年金基金とその理事、個人顧客と投資顧問業者、医師と患者、弁護士と依頼人、本人とその代理人など幅広い関係に適用されるようになっています。
日本を含むヨーロッパ大陸法系の国々においても、また英米法系の国々にあっても、私人間の関係を律する基本は契約関係ですが、信任関係は契約関係とは異なる要素を含んでいます。契約関係は、いわば対等な当事者同士のギブ・アンド・テイクの関係であり、相互の権利・義務は契約の条項として詳細に規定され、それが実行されれば契約関係は全うされます。これに対し、信任関係においては、一方が相手の専門家としての能力または識見・人格を信用し、頼り、任せるという要素が含まれ、信頼を受けた者が行うべき行為は、信任関係の始まる時点で必ずしも詳細には決められないことも多いのです。
また、この信任関係の下で、信頼を受けたものは、相手方の信頼に応え、相手方の最大の利益を図るために全力を尽くすという高い倫理観を伴った行動が要請されます。信任関係および信任義務は、上記のように英米法系で発展した概念であるため、わが国の法律においては、これらの概念をそのまま規定したものはなく、後述の信任義務の構成要素である忠実義務や注意義務を断片的に規定したものがあるにとどまっています。しかし、近年わが国においてもこれらの概念はかなり広く受け入れられるようになってきていることを考慮し、この基準においてこれらを導入することとし、まず基準1−1において、その定義を行ったものです。
信任義務は、上記のような信任関係において、信頼を受けて、専門的業務または授権に基づく業務を行う者が負う義務です。信任義務は多くの内容を含みますが、沿革的に最も重要なものとされているのは忠実義務と注意義務の二つです。基準1−2に「相手方に対して真に忠実に」とあるのが忠実義務を規定したものであり、信頼を受けた者は、任され、頼られるという立場を認識し、専ら相手方の最善の利益を図るように行動しなければなりません。相手方の犠牲の上に自己や第三者の利益を図るようなことはあってはならないとの趣旨なのです。
基準1−2の後段は、信頼を受けた者の注意義務を規定しています。信任関係において、ある者が信頼を受ける理由は、その者が通常人に比し、高い専門的能力を持っていることを期待されている点にあります。業務の遂行に当たり、その者は専門家として要求される能力、思慮、勤勉さを十分に発揮しなければならないという義務です。
基準1−3は、受任者としての忠実義務について規定しています。プライベートバンカーは、PB業務を行うに当たっては専ら顧客その他信任関係の相手方(以下本条の解説において顧客等という。)の最善の利益を図るよう行動しなければならず、顧客等の犠牲の上に自己や第三者の利益を図ってはならないとの趣旨です。
プライベートバンカーは、常に顧客等の信任を得たPB業務に関する専門家としての誇りと高い倫理観を持って、誠実に顧客等の利益のために何が最善であるかを考えながら行動することが要請されます。このためには、顧客等の利益を損なうような形で顧客等の財産を利用し、自己や第三者の利益を図るようなことが許されないことはもちろんのこと、PB業務の公正性、客観性を阻害する可能性のある利益相反の状況に置かれることを極力回避するよう努めなければなりません。もし利益相反の状況に置かれたときは後記の基準2−1の定めるところに従い、その事実を顧客等に開示することが求められます。
基準1−4は、忠実義務と並ぶ重要な信任義務である注意義務について規定しています。プライベートバンカーは、その時点での顧客やファンドなど投資の主体の状況、客観的な経済・金融情勢など投資をめぐる環境を見極めながら、投資の専門家として要求される注意、配慮を払い、また専門的な技能を発揮し、さらに信任を受けたものとしての勤勉さを発揮してPB業務を行わなければならないとの趣旨です。プライベートバンカーは、顧客等から専門家としての信任を得てPB業務を行うものですから、上記のような注意義務は通常人に期待される以上のものが要求されます。
具体的にどのように行動すればこの注意義務を果たしたことになるかについては、プライベートバンカーの属する業態によっても変わってきますが、いわゆるプルーデント・インベスター・ルール(コラム1参照)が基本的な原則として適用できるでしょう。このルールは米国の信託法における受託者の行為基準として広く認められるようになったいわゆるプルーデントマン・ルール(同コラム参照)が、近年における資産運用の理論および実務の発展を考慮して修正されたルールであり、受託者が合理的な投資家として投資判断をすべきであるというものですが、このルールの考え方は信託の受託者のみならず、運用に関わる者をはじめPB業務に従事する者全般に適用し得るものです。ただ上記に述べたようにその具体的な適用のあり方はプライベートバンカーが置かれている状況により異なります。

② 客観的かつ公平な判断

イ.基準

  • 基準1−5 プライベートバンカーは、PB業務を行うに当たって、専門的見地から適切な注意を払い、公正かつ客観的な判断を下すようにしなければならない。
  • 基準1−6 プライベートバンカーは、PB業務を行う場合には、すべての顧客を公平に取り扱うようにしなければならない。

ロ.趣旨

プライベートバンカーが、PB業務を行うに当たっての基本的心構えを述べたものです。基準1−5はすべて職業的専門家は、その職務について、専門的見地から、一般人以上の相当の注意を払わなければならないことは当然ですが、特にPB業務のように顧客の重要な資産運用に関わり、かつ将来の投資収益・リスクの予測を基本的要素としている業務については、職業上の適切な注意と配慮の下、公正かつ客観的な判断を下すことが求められることを示しています。
基準1−6はプライベートバンカーがPB業務を行う場合には、すべての顧客を差別することなく、公平に取り扱うようにすべき旨の規定です。

基準2 利益相反の排除

①十分な開示

イ.基準

  • 基準2−1 プライベートバンカーは、公正かつ客観的なPB業務の遂行を阻害すると合理的に判断される事項を、顧客に提示しなければならない。
  • 基準2−2 プライベートバンカーは、基準2−1のほか次の事項を顧客に開示しなければならない。
    1. プライベートバンカーが、その顧客に対して提供したPB業務の対価として、自己の所属する会社または団体以外から収受しまたは収受することを約束したあらゆる報酬。
    2. プライベートバンカーが、その顧客に第三者の役務提供を受けることを推奨すること、またはその顧客を第三者に紹介することに関して収受しもしくは収受することを約束した、すべての報酬。

ロ.趣旨

基準1−3、1−4の受任者としての信任義務の項で述べたように、プライベートバンカーはPB業務を行うに当たり顧客の最善の利益に資することのみに専念しなければならず、自己または第三者の利益を優先させてはなりません。この信任義務に基づく当然の要請として、プライベートバンカーはPB業務を自己や第三者の利害に影響されることなく客観的に、かつ公正に行わなければなりません。そのためには、客観性と公正さを阻害する可能性のあるような状況に自己を置かないようできるだけの努力をする必要があります。しかし、プライベートバンカーが所属する組織で職務を遂行する過程で、あるいは個人として社会生活を営んでいるうちに、本人が意図するかどうかにかかわらず、顧客の利益と自己の利益が相反する立場に置かれることは往々にしてあり得ることです。
そのような事態が生じたとき、プライベートバンカーに対しすべての場合について利益相反状況を解消することを義務付け、あるいは利益相反状況を生じる行為を禁止することは、あまりに過重な義務をプライベートバンカーに負わせる恐れがあります。他方、プライベートバンカーについて、顧客に損害を与える可能性のある利益相反の事情があるにもかかわらず、それを秘匿したまま顧客のためにPB業務を行うことは、顧客に対してフェアーでなく、仮に顧客が損失を被ったときは、プライベートバンカーが顧客の犠牲の上に利益を得たのではない場合にも利益相反に関する情報が秘せられていたために損失を受けたのではないかとの疑念を生むことになりかねません。
そこで、基準2−1は、公正かつ客観的なPB業務を阻害すると合理的に判断される事情が存在するときは、プライベートバンカーがそれを顧客に明らかにすべきことを規定しています。すなわち、顧客にPB業務の公正性と客観性に影響を与える可能性のある事項に関する情報を提供した上で、プライベートバンカーが提供する投資推奨、資産管理等のPB業務を受け入れるかどうかの判断を顧客自身にしてもらうこととしたものです。
基準2−2−ⅰ)は基準2−1の系とも言うべき規定です。プライベートバンカーが、自分が行うPB業務の対価として、自己が所属する会社や団体以外のところから報酬を受け取る場合は、その報酬提供者への配慮からPB業務の客観性、公正性を損なう恐れがあります。特に、報酬提供者が証券の発行会社の場合は、投資推奨や投資管理が発行会社に有利なように行われる危険があります。そこでそのような場合は、報酬の収受または収受の約束を顧客に開示し、顧客がその事実を知った上でプライベートバンカーの提供するPB業務を受け入れるかどうかの判断をしてもらうこととしたものです。
基準2−2−ⅱ)は、紹介料の受取りの場合の規定です。プライベートバンカーが、自らのイニシアチブで、あるいは顧客の依頼に基づき、第三者である投資顧問業者、コンサルタント、ブローカー・ディーラーなどを紹介する場合、当然ながらプライベートバンカーはPB業務の専門家としての知識を基に公正な判断を行い最も適切な第三者を選定し、紹介することが要請されます。しかし、その第三者から報酬を受取っている場合は最適な選定が担保されない恐れがあります。そこで、その場合は、報酬の収受または収受の約束を顧客に開示し、顧客がその事実を承知してもなお紹介された第三者のサービスを受け入れるかどうかの判断を行う機会を持てるようにしたものです。

②利益相反の防止

イ.基準

  • 基準2−3 業務のうち顧客に対する投資情報の提供または投資推奨(以下「投資推奨等」という)の業務に従事するプライベートバンカーは、顧客に投資推奨等を行う証券の実質的保有をしてはならない。ただし、公正かつ客観的なPB業務の遂行が阻害されることがないと合理的に判断される場合において、投資推奨等において当該証券の実質的保有の事実が顧客に開示されているときには、この限りではない。
  • 基準 2−4 投資推奨等の業務に従事するプライベートバンカーは、投資推奨等を行う場合は、自己が実質的保有をしまたはそれが見込まれる証券の取引に優先して、顧客が当該投資等に基づいて取引を行うことができるよう、十分な機会を与えなければならない。
  • 基準2−5 投資管理業務に従事するプライベートバンカーは、自己が実質的保有をし、またはそれが見込まれる証券の取引が、自己の関与する運用財産において行う取引の利益を損なうことがないよう、当該運用資産のための取引を自己の取引に優先させなければならない。
  • 基準2−6 プライベートバンカーは、顧客が同意した場合を除き、顧客との取引において当事者となりまた自己の利害関係者の代理人となってはならない。

ロ.趣旨

投資推奨等の業務を行う証券アナリストが、担当する企業の証券(以下「担当証券」という)に個人的投資をすることについては、賛否両論のさまざまな考え方があります。プライベートバンカーについては、PB業務の客観性、公正性を守り、また同業務に対する顧客の信頼を確保する観点からすると、プライベートバンカーが個人的投資を行うことは、原則として望ましくないと考えられます。投資推奨等の対象となっている証券と同一の銘柄の証券を実質的に保有している場合は、一般的に、自己が値上がり益を得るために客観的、合理的な裏付けがないのに買いを推奨したり、あるいは値下がり要因が存在するのに売り推奨を控えるといった作為、不作為の誘因となる危険があります。また、例えば、自分が買い推奨した証券のうち、特定の証券にのみ投資を行った場合にはその証券について投資家に知らされない情報があったのではないかとの疑念を招きやすいことも事実です。
そこで、基準2−3は、顧客に対する投資推奨等の業務に従事するプライベートバンカーは、担当証券の実質的保有を行ってはならないとの基本原則を示した上で、公正かつ客観的なPB業務の遂行が阻害されないと合理的に判断され、かつ実質的な保有の事実が投資推奨等において顧客に開示される場合はその例外とすることを規定しています。
基準2−4は投資推奨等の業務に従事するプライベートバンカーが、基準2−3のただし書きに基づき、自らの投資推奨等の対象になる証券と同一の銘柄の証券について個人的な取引をする場合には、顧客が当該投資推奨等に基づいて優先して取引を行うことができるよう十分な機会を与えた後でなければ、プライベートバンカー自身の取引を行ってはならないとの趣旨であり、いわゆるリサーチ・フロントランニング行為を禁止するものです。
これは、プライベートバンカーが常に顧客の最善の利益に資することに専念しなければならないという信任義務から導かれる当然の義務を規定したものです。つまり、投資推奨等の業務に従事するプライベートバンカーは、自己が個人的に実質的保有をしている証券について、売りの推奨を行う場合には、売り推奨を行った後、顧客がそれを考慮して売るかどうかの判断をするに十分な時間が経過した後でなければ、自己が実質的に保有している証券を売ってはならず、逆に買い推奨をしようとしている証券については、顧客がその買い推奨を考慮し買うかどうかの判断を行うのに必要な十分な時間をおいた後でなければ、自己の買いを行ってはならないということです。
基準2−5の規定は、基準2−4と同様の趣旨を投資管理業務に従事するプライベートバンカーにつき規定したものです。すなわち、投資管理業務に従事するプライベートバンカーが個人的な取引をする場合には、顧客の取引を優先させなければならないということです。つまり、プライベートバンカーが関与する運用財産で保有する証券の売却予定がある場合に、自分が実質的保有をしている同一の証券を先に売ってはならず、また、買付けの場合も同様に自分のための買付けを先に行ってはならないということです。
基準2−6はPB業務を行うに当たり、プライベートバンカーは顧客の最善の利益に資することに専念しなければなりませんが、自己が顧客に対し取引の当事者すなわち相手方となる場合には顧客の最善の利益の追求が妨げられる可能性が強いとみられます。顧客の利益と相手方となったプライベートバンカーの利益は相反するのが通常だからです。そこでこのような行為は、顧客の同意がある場合を除き禁止することとしたものです。プライベートバンカー本人が直接の当事者にならないが利害関係者の代理人となる行為も、同様の問題を生ずる恐れがあるので禁止することとしています。

基準3 専門家としての能力の維持・向上

①社会的役割

イ.基準

  • 基準3−1 プライベートバンカーは、PB業務の持つ重要な社会的役割にかんがみ、誠実に職務を励行し、互いにプライベートバンカーの社会的信用および地位の向上に努めなければならない。

ロ.趣旨

本協会のプライベートバンカーとしての理念と職業的専門家としてのあるべき基本的姿勢を示したものであり、PB業務の社会的役割を自覚して誠実に職務を励行し、社会的信用と地位の向上に努力するよう求めています。

② 専門能力の維持・向上

イ.基準

  • 基準3−2 プライベートバンカーは、常にPB業務に関する理論と実務の研鑽に精進し、その責務にふさわしい専門能力を維持し、向上させなければならない。

ロ.趣旨

プライベートバンカーが社会のニーズに応え、信頼を得るのは、何よりもまずその職務にふさわしい専門能力を有しているからであり、そのためプライベートバンカーは、常に理論と実務の研鑽に努めるべきことを述べたものです。

基準4 顧客の秘密保持

①守秘義務

イ.基準

  • 基準4−1 プライベートバンカーは、業務を行う場合には、当該業務の依頼者である顧客に関し知り得た秘密を他に漏らしてはならない。

ロ.趣旨

PB業務を行う場合には、その業務を通じて顧客の財産、収入その他種々の秘密を知り得ることになりますが、これを他に漏らしてはならない旨の規定です。顧客が、プライベートバンカーに対し、自己の財産や収入の詳細を示してその助言を求めまたは投資運用を任せるのは、秘密保持についての信頼感が1つの前提となっているわけであり、この顧客の信頼を裏切るような秘密漏えい行為は、プライベートバンカーの信用失墜につながるものだからです。

基準5 投資の適合性

イ.基準

  • 基準5−1 顧客の財務状況、投資経験、投資目的を十分に確認すること。また、必要に応じてこれ らの情報を更新(最低でも年1回以上)すること。
  • 基準5−2 顧客の財務状況、ニーズ、投資対象およびポートフォリオ全体の基本的特徴など関連する要素を十分に考慮して、投資情報の提供、投資推奨または投資管理の適合性と妥当性を検討し、顧客の投資目的に最も適合する投資が行われるよう常に配慮すること。

ロ.趣旨

基準5−1、5−2は、プライベートバンカーが顧客のため業務を行うときは、顧客の投資目的に最も即応した投資が行われるよう配慮しなければならないという、いわゆる適合性の原則に関する事項について述べたものです。
基準5−1は、この原則を実践する上で前提となる顧客に関する情報の把握について規定しており、顧客に関する情報の確認義務と更新の必要性について述べています。顧客の置かれている状況は、個人であれば資産の額、年齢、家族構成、資金の必要となる時期などによりさまざまです。また、投資の目的もさまざまです。例えば、収益を生計費に充てるために投資を行う場合もあろうし、リスク分散のために投資を行う場合もあります。また資産運用に関する知識・経験も人により大きく異なります。
運用資産の規模、事業の性格、将来の資金需要の見通しなどにより、投資の目的は異なってきます。個人と同様、法人についても資金運用に関するノウハウの蓄積度合いはさまざまです。PB業務を行うプライベートバンカーは、このように多様な特性を有する個別の顧客の状況をまず十分に確認する必要があります。
基準5−2は、適合性の原則そのものを規定しています。PB業務に従事するプライベートバンカーは上記基準5−1に基づき得られた情報に照らし、それぞれの顧客の投資に関してどのような制約条件があるかを検討し、その上で顧客のリスク許容度を考慮しながらどの程度の収益率を目指すかを決定する必要があります。このような過程を踏み、最終的に顧客の投資目的に最もふさわしい収益率とリスクの組合わせを持った投資対象の選定やポートフォリオの構築を行うように努めなければなりません。これが適合性の原則と呼ばれるものであり、PB業務に従事する者が守ることを求められる最も基本的な原則の1つです。また、これは基準1−4に規定する受任者としての信任義務を構成する要素の1つである注意義務に由来するものでもあります。
適合性の原則は、PB業務に従事するプライベートバンカーが常に念頭に置いておくべきものですが、求められる適合性の考慮の度合いは、プライベートバンカーが属する業態や従事する業務の種類によって異なったものとなることは当然で、一律にこの原則が適用になるわけではありません。

基準6 不実表示に係る禁止等

イ.基準

  • 基準6−1 プライベートバンカーは、次に掲げる事項について不実表示をしてはならない。
    1. プライベートバンカーが顧客に対して行うことができるPB業務の種類、内容および方法その他PB 業務に係る重要な事実。
    2. プライベートバンカーが有する資格。

ロ.趣旨

プライベートバンカーが行う自らのPB業務の能力に関し虚偽、誇大または誤解を生ずるような内容の発言、文書への記載、広告をしてはならないとの趣旨です。

基準7 資格・認可を要する業務上の制約

イ.基準

  • 基準7−1 プライベートバンカーは、資格・認可が必要とされる業務については、法の定める資格・認可を得ることなく、かかる業務を遂行してはならない。

ロ.趣旨

不動産鑑定業務や税理士などをはじめとする資格が必要な業務については、当該分野の専門家に問題解決を委ねるべきで、プライベートバンカーとしての職務範囲を逸脱してはいけないとの趣旨です。

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