2. 日本証券業協会の理事会決議との関係での留意事項
理事会決議は、証券会社がアナリスト・レポートに関する指針を策定する等により、 その表示内容及び評価が適正かつ合理的なものとなるよう努めなければならないと定めている。(理事会決議 4(1))
さらに証券会社は、アナリスト・レポートの審査担当者を定めることとし、審査担当者が審査を行うに当たって留意しなければならない事項を規定している。(同 4(2)(3))
また理事会決議の徹底を図るため取りまとめられた「理事会決議の考え方」は、審査担当者の具体的審査項目として、表現・表記にかかわる事項(そこで参照されている「広告に関する指針」に記されている事項を含む。)を例示している。
これらは下記のとおりであるが、審査担当者のみならず、証券アナリストがレポートを作成する際にも念頭に置くことが望まれる事項である。
(1) 審査担当者が審査に当たって留意する事項 (理事会決議 4(3))
a. 広告及び景品類の提供に関する規則(公正慣習規則第 7 号)第 4 条第 1 項(注) に規定する禁止行為に該当するものでないこと
b. アナリスト・レポートにおける表示内容及び評価が、社内の指針等に照らし、 適正かつ合理的なものであること
c. レーティング又は目標株価が記載されている場合には、レーティングの定義並びに目標株価についての根拠及び達成の予想期間が明確に表示されていること
(注) 広告及び景品類の提供に関する規則(公正慣習規則第7号)第4条第1項
協会員は、次の各号の一に該当し又は該当するおそれのある広告を行ってはならない。
一. 取引の信義則に反するもの又は協会員としての品位をそこなうもの。
二. 証取法その他の法令等に違反する表示のあるもの又は脱法行為を示唆する表示のあるもの。
三. 投資者の投資判断を誤らせる表示のあるもの。
四. 協会員間の公正な競争を妨げるもの。
(2) 審査担当者の審査項目(理事会決議の考え方)
(注)以下の( )書きは、表現・表記にかかわらない事項
イ. 誇大又は扇動的な表示、恣意的又は過度に主観的な表示等の禁止
個別企業の紹介を行う場合は、その株価、業績等についての誇大又は扇動的な表示、過当な投機を推奨する表示、風説の流布的な表示等、恣意的又は過度に主観的な表示は行わない。
ロ. 断定的な表示の禁止
個別企業の株価及び将来の業績、増減資、配当その他株価の騰落に相当な影響を及ぼす事項については、断定的な表示は行わない。
ハ. 投資者の投資判断を誤らせるおそれのある表示の禁止
個別企業又は銘柄について投資者の投資判断を誤らせるおそれのある表示は行わない。
ニ. 虚偽表示の禁止
ホ. (未公表の法人関係情報の提供の禁止)
へ. (有価証券届出書の届出前の勧誘の禁止)
ト. 株価、業績、新技術、新製品等の予測についての根拠の表示
個別企業の株価、業績、増減資、配当等の予測及び新技術、新製品、資源の開発等の予測を行う場合において、自己の判断、評価等が入るときは、その根拠を明示する。
チ. 目標株価についての根拠及び達成の予想期間の表示
リ. データ、統計等の出所の表示
ヌ. アナリスト・レポートの内容と引用している株価、データ、統計等の適切性の確認
ル. アナリストの意見と事実の明確な区別
ヲ. 適切な担保文言(ディスクレーマー)の記載
ワ. レーティングの定義の記載
本留意事項で言及している日本証券業協会理事会決議「アナリスト・レポートの取扱い等について」は、同協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則」に改正されています。また、言及している条文の内容や項目が、改正等により変更になっていることもあります。さらに、関連して言及している「広告及び景品類の提供に関する規則」においても改正等により変更になっていることもありますので、留意してください。